日本商工会議所の三村明夫会頭は8月23日、経済産業省の第19回産業構造審議会総会に出席した。会合では、「平成29年度経済産業政策の重点」、第4次産業革命に向けた規制改革の工程表などが盛り込まれる「新産業構造ビジョン」について議論した。三村会頭は、「アベノミクスの課題の本質は、デフレからの脱却と潜在成長率の引き上げ」と強調。潜在成長率引き上げに向けた道筋を明らかにするよう求めた。
企業の投資拡大や消費の喚起には賃金の引き上げが必要としている「平成29年度経済産業政策の重点」について三村会頭は、「投資の拡大と消費を喚起する賃上げは重要と認識している」と一定の理解を示す一方、「消費が増えない原因を明らかにすることが必要」と強調。「国民の将来に対する不安なども含め、消費を増やす方策を検討すべき」と述べるとともに、賃上げによる中小企業への影響に懸念を示した。
新産業構造ビジョンについては、「健康」「移動」など4つの戦略分野に関する規制改革などを盛り込んだロードマップを今後策定することとしているが、三村会頭は、「潜在成長率を引き上げるのに、どのような効果があるのか道筋が見えない」と指摘。「潜在成長率を引き上げるために、今回の検討事項がどのように関わってくるのかを明らかにしてほしい」と注文を付けた。
世耕弘成経済産業大臣は、「今こそ企業の投資の拡大と消費を喚起するための賃上げ促進に向けて呼び水となる政策を総動員する時が来ている」と強調。ロボットや人工知能(AI)など第4次産業革命に向けた投資とともに、地域の中小企業の活性化を通して、GDP600兆円を目指す考えを示した。
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