兵庫県三木市に、森と竹に囲まれた工房を構える竹岱亭(ちくだいてい)。染織(伝統的な型染め/草木染・手織り)・和更紗・石彫・木工・金工(彫金・鍛金)・刃物づくり・トンボ玉をはじめとする工芸、そして染め職人/一甲(いっこう)による伝統ある回り舞台の大幕の制作など、多岐にわたる創作を行っている。
今回、日本商工会議所会頭賞に輝いたのは竹岱亭の「金物をデザインした手染めの風呂敷」。金物のまちで、藍染め発祥の地でもある三木市をアピールするため、オリジナルデザインを考案、型染めの技法を用いて藍染めした。
型染めは型を用いて柄を染める染色技法で、竹岱亭には数千枚近く彫りこんだ型紙がある。その線の細さには定評があるが、線の細さゆえ糊(のり)おきに技術を要する。型を彫る人と糊を置く人を分ける「分業」ではなく、竹岱亭では全ての作業を行う。型紙を繰り返し型置きすることで生まれる模様の繰り返しと、型を用いることにより表現される明快な線が型染めの魅力といえる。防染糊を使用しはけで染めていく「糊防染型染め」という手法で布を染めている。兵庫県西脇市産の「播磨藍」を使用。藍の染料は「すくも」と呼ばれる発酵および乾燥した状態で入荷される。そのすくもを「藍建て」という方法で、藍の染液をつくる。藍液に浸す回数によって色の濃度が変わる。日本の伝統工芸の技が凝縮されている。
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