政府は4月19日、「産業競争力会議」を開催し、名目GDP600兆円に向けた新たな成長戦略案などについて議論した。成長戦略は、中小企業におけるロボットやITの活用による第4次産業革命で、新たな有望成長市場を創出することなどを柱に据えている。会議に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、「人手不足や長時間労働に悩む中小企業の生産性向上につながるものが多い」と評価。安倍晋三首相は、「今が若者の未来を左右する分岐点。新たな成長戦略は、日本の若者に無限の可能性を切り開くものでなければならない」と強調した。
三村会頭は「強力なサプライサイドの政策について腰を据えて粘り強く断行することにより、成長率を引き上げることが必要」と強調。中小企業の生産性向上策が盛り込まれた今回の成長戦略に期待を寄せた。
中小企業の生産性向上については、ITコーディネーターなどによる1万社支援やロボット導入支援が、初めて打ち出されたことを歓迎。「意欲のある中小企業に幅広く支援が行き届くように、持続性のある仕組みを構築してほしい」と要望した。また、インバウンドの受け入れ体制構築に向け、宿泊施設や交通インフラの整備、旅行業法の規制緩和の前倒しなどを求めたほか、事業承継対策の強化を訴えた。
安倍首相は、成長戦略では、有望成長市場の開拓、生産性革命、人材強化に取り組む方針を表明。「第4次産業革命の大波は、若者に『社会を変え、世界で活躍する』チャンスを与える」と強調した。また、優秀な人材を海外から呼び込むため、永住権取得までの在留期間を世界最短とする「日本版高度外国人材グリーンカード」の導入を表明した。
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