日本商工会議所は9月30日、9月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。9月の全産業合計の業況DIは、マイナス27・8と、前月からマイナス2・9ポイントの悪化。調査期間は9月14~21日。全国423商工会議所が2985企業にヒアリングした。
調査結果では、住宅など民間工事の持ち直しに加え、円高などにより原材料価格が下落する一方で、台風や豪雨の影響が大きく、食料品などの製造業や小売業、サービス業で広く業況の押し下げ要因となった。また、個人消費の鈍い動きのほか、慢性的な人手不足による受注機会の損失や人件費の上昇などが足かせとなり、中小企業の景況感は、足元で弱い動きが見られている。
業種別では、建設業は、地域によりばらつきがあるものの、公共工事に持ち直しの動きが見られたほか、好調な住宅投資に下支えされ、改善。製造業は、電子部品関連が上向きつつある一方で、工作機械関連の受注減や、原材料の値上がりを受けた食料品製造業が振るわず、悪化した。人件費の上昇など人手不足の影響拡大を指摘する声もある。
卸売業は、建設需要にけん引された建築材料関連が堅調に推移し、改善するものの、「悪化」から「不変」への変化が主因であり実体はほぼ横ばい。天候不順に伴う農水産物の品不足による売上減少を指摘する声も多い。
小売業は、インバウンドを含む高額品販売や秋物衣料の苦戦、不要な支出を控える消費者の動きを指摘する声があり、悪化。ただし、「好転」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばいとなった。
サービス業は、悪化。天候不順の影響により客足が減少したほか、農水産物の仕入価格が上昇し、採算が悪化した飲食業や、旅行客のキャンセルが出た宿泊業が全体を押し下げた。前年のシルバーウイークに比べ休日数が少ないことによる売り上げ減少を指摘する声もある。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス23・5(9月比プラス4・3ポイント)と改善を見込むものの、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。経済対策・補正予算による公共工事の増加、個人消費の喚起に期待する声が聞かれる。日商では、「人手不足の影響拡大、消費低迷や円高、海外経済減速の長期化を懸念する声は多く、中小企業においては、先行きへの慎重な見方が続いている」と分析している。
最新号を紙面で読める!