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スポーツライター 青島健太の注目アスリート 大きな目標が人を変える そして選手をつくる

日本オープンゴルフ選手権で優勝した松山英樹選手 写真提供:産経新聞

どこに目標を置いて、何を目指すのか。そうした気持ちの姿勢が、プレーの質を大きく変える。日本オープンゴルフ選手権で初優勝(10月16日)を飾った松山英樹選手の考えを聞いて、改めてビジョンの大切さを感じた。優勝を決めて松山は言った。

「日本のメジャーと言われるけど、僕はここを目標にしていないですし、ここは通過点。最後のパッティングを決められないようじゃ、向こうのメジャーは勝てない。向こうで勝てるようにもっと練習したい」

パッティング直前に、優勝を祝う花火が上がるなど、アクシデントもあり、松山は1メートル半のパーパットを外していたのだ。

身長180センチ、体重82キロ。日本人選手としては大柄な松山だが、世界のステージでは標準的な体格だ。彼が主戦場にするアメリカツアーでは、ドライバーの平均飛距離が300ヤードを超える選手が何人もいる。そんなパワフルなツアーに身を置いて彼は戦っている。きれいに整備された日本のゴルフ場に比べて、アメリカツアーはラフも長くコースセッティングも極めて難しい。そんな戦場から帰国した松山にとっては、国内メジャーといえども日本のコースを楽に感じた部分もあったことだろう。それもこれも彼が日本を飛び出し、海外のメジャー制覇を目標にしているからだ。

大会の4日間、松山は多くのギャラリーを引き連れてプレーを続けた。そのことについては、こんなことを言っている。

「たくさんのギャラリーが来ていて毎日緊張していた。良いプレーができて良かった。アメリカでの経験が生きたと思う。お客さんを沸かすゴルフができればと思って頑張りました」

より高いステージでの勝利を目指すと同時に彼がアメリカで手にしたもう一つの視点が「お客さんを沸かすゴルフをする」ということなのだろう。「強さ」と「人気」。これが選手をさらに前進させる両輪だ。ファンに喜んでもらえるプレーを目指すことで、スケールの大きな選手になっていくことができる。どれだけの人に影響を与えることができるか。それがトッププロの使命であり、喜びでもあるのだ。

目標の大きさが人を変え、選手をつくる。優勝争いの中でもファンを楽しませることを忘れない。そんな松山のプレーに世界スケールの戦い方を見た。

青島 健太 スポーツライター&キャスター 1958年新潟市生まれ。埼玉県立春日部高校から慶応義塾大学、東芝を経てヤクルト・スワローズに入団。プロ野球初打席で初ホームランを記録。引退後は、オーストラリアで日本語教師を務め、帰国後、あらゆるメディアでスポーツの醍醐味を伝えている。

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