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スポーツライター 青島健太の注目アスリート 目標を共有し仲間意識を醸成するプロ野球キャンプの「声出し」

写真提供:産經新聞

プロ野球12球団のキャンプが始まった。かつては、九州、四国、沖縄、海外(私の時代、ヤクルトはアリゾナでキャンプを張った)と、各地に散らばっていたキャンプ地も、近頃は沖縄に集まる傾向にある。施設が充実し暖かいことが一番の理由だが、それ以外にも花粉症に悩まされずに済むことや、多くのチームが集結しているのでオープン戦が組みやすいということもある。沖縄には韓国のチームも来ているので、日韓の練習試合も頻繁に行われている。

キャンプといえば、多くのチームで、朝の「声出し」が行われているのをご存知だろうか。朝食前の散歩や体操の時にやるチームもあれば、練習前のグラウンドで行うチームもある。とにかく大きな声で何かを叫ぶ。「声出し」とは、首脳陣やチームメイトがいる前での決意表明だ。笑いを取る選手もいれば、真面目に目標を語る人もいる。

去年は、東北楽天の田中将大投手の「声出し」がメディアで大きく取り上げられた。

「今年はWBCで世界一、シーズンで日本一、この二つの頂点を目指し、そのために1年間フル回転していきたいと思います」

そして最後に大きな声をさらに大きくして言った。

「今年の野球界の主役は、俺たち楽天です」

果たして、楽天とマー君がその言葉通りのシーズンを送ったことは周知の通りだ。朝の「声出し」の効能?

人前で話すことが苦手な人には、まったくもって困ったイベントだ。ただ、プロ野球でもシーズンが始まると、投手陣と野手陣は別々の練習をこなし、同じチームでも意外に接点が少ない。キャンプの時期に、順番にみんなで大声を出して自分を知ってもらう。抱負を述べる。その言葉が、自分を頑張らせる約束にもなる。チーム全体のコミュニケーションを図る上でも、朝の「声出し」は楽しいメニューになっている。

もちろんこれをやれば絶対に勝てる……などというものではない。それでも職場での仲間意識の醸成や、モチベーションの共有などに有効な気もする。言うまでもなく「声出し」など遊びのようなことだが、プロ野球もそんなことを真面目にやって、チームを盛り上げ、戦う準備をしているのだ。

青島 健太 スポーツライター&キャスター 1958年新潟市生まれ。埼玉県立春日部高校から慶応義塾大学、東芝を経てヤクルト・スワローズに入団。プロ野球初打席で初ホームランを記録。引退後は、オーストラリアで日本語教師を務め、帰国後、あらゆるメディアでスポーツの醍醐味を伝えている。

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