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スポーツライター 青島健太の注目アスリート 攻める気持ちを忘れず 金メダルに挑戦する浅田選手

写真提供:産経新聞

2014年、世界のスポーツシーンはソチ五輪で幕を開ける。

スピードスケート、スキージャンプ、モーグル、ノルディック複合、スノーボード……、今回の日本代表は、多くのメダルが期待されている。その中でも大きな注目が集まるのは、やはり女子フィギュアスケートの浅田真央選手だろう。

4年前のバンクーバー五輪では、トリプルアクセルを含む世界最高難度の演技を披露しながらも、ライバルのキム・ヨナ選手(韓国)にあと一歩届かなかった。銀メダルを獲得しながらも、涙を抑えきれなかった浅田選手の姿に、胸中に宿る思いがにじみ出ていた。どこまでも可憐でキュートな真央ちゃんでも、アスリートとしてのプライドが2位という結果を受け入れなかったのだろう。しかし、その涙こそがソチ五輪に向けての原動力になっている。

昨年12月、福岡で行われたグランプリ・ファイナル。私は優勝した浅田選手の滑りを見て、何とも言えない感動を覚えた。それは浅田選手の演技が、「悔しさ」や「勝ちたい」という意識を超えて、自分の持てる才能の全てを、演技の中で出し切ろうとしているように見えたからだ。

その気持ちを彼女は、こう表現している。

「攻める気持ちを忘れないでいたい」

「質のいいものは尽きない。さらにさらに上を目指したい」

彼女が意識しているのは、ライバルの滑りや自身の得点ではない。磨いてきた技と培ってきた表現力をどうやって最高の状態で発揮するか。攻める気持ちは、ライバルに対するものではない。成績や結果を意識して、その滑りが守りに入ることを戒める姿勢だ。

4年前に比べて、彼女の身体は、全体的にほんの少し丸みを帯びた印象を受ける。足や体幹に筋肉の鎧を付けているのだろう。それは、ステップを基礎から見直し、封印を解いたトリプルアクセルを飛び続けることで出来上がった戦闘モードのスタイルだ。

どこまでもエレガントでありながら、その中で最大限の爆発を秘めた究極の美しさがそこにある。その体つきを見るだけでも、浅田選手が人知れずどれだけのトレーニングを積んできたかがよく分かる。浅田真央にもはや敵はいない。金メダルへの挑戦は、自分自身との戦いだ。

青島 健太 スポーツライター&キャスター 1958年新潟市生まれ。埼玉県立春日部高校から慶応義塾大学、東芝を経てヤクルト・スワローズに入団。プロ野球初打席で初ホームランを記録。引退後は、オーストラリアで日本語教師を務め、帰国後、あらゆるメディアでスポーツの醍醐味を伝えている。

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