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スポーツライター 青島健太の注目アスリート サッカーW杯で気付いた世界に誇るべき日本のスポーツ文化

写真提供:アフロ

40年前のことだ。私は、埼玉県立春日部高校の野球部2年生だった。秋の県大会。ミラクルな快進撃を続けた我がチームは決勝まで進出し、なんと優勝してしまった。この後、関東大会に埼玉県代表として出場したのだが、ベスト4まで勝ち進んだものの、夢にまでみた春の甲子園出場は叶わなかった(補欠校)。

話は、その県大会決勝でのことである。ゲームは6点のビハインドを跳ね返す劇的なものだったが、その日の主役は応援に駆け付けた母校の学生たちとその応援を指揮する応援指導部のリーダーシップだった。

優勝の瞬間、3塁側に陣取った学生たちから、新聞を切ってつくった紙吹雪が舞う。そのほか、投げられるものは何でもスタンドを飛んだ(笑)。

しかし、喜びに浸った直後に、彼らの取った行動が見事だった。応援指導部の指導の下、残った学生の有志が紙吹雪とごみで散らかったスタンドをきれいに掃除して帰ったのだ。その様子は、翌日の地元新聞に大きく掲載され、試合以上に「素晴らしかった」と称えられた。

サッカーW杯ブラジル大会でも日本から来たサポーターが、同様の行為で世界中の賞賛を得た。試合を観戦したサポーターが、スタンドに散らかったゴミをきれいに掃除して帰ったからだ。

興味深かったのは、この清掃活動に対する反応の違いだった。ニュースを知った海外の人の多くが「日本のマナーは素晴らしい」とツイッターでつぶやいたのに対し、日本人の反応は「どうしてこれがニュースになるの? 当たり前のことなのに……」というものが多かった。   そう40年前に褒められた私の母校の行為も、今ではあらゆるスポーツで当たり前に行われている。Jリーグやプロ野球のスタジアムでも当然のようにごみの分別が行われ、心あるファンは自分で持ち帰ったりする。私たちにとってこうしたスタイルのスポーツ観戦は、この国ではもはや当たり前のことになっているが、どうやらこれは世界に誇れるスポーツ文化のようだ。

今後、日本では2019年にラグビーのW杯が開催され、2020年には五輪&パラリンピックが行われる。日本から発信できるのは競技力やメダルの数だけではない。こうした日本のスポーツ文化も胸を張って世界に紹介しよう。

青島 健太 スポーツライター&キャスター 1958年新潟市生まれ。埼玉県立春日部高校から慶応義塾大学、東芝を経てヤクルト・スワローズに入団。プロ野球初打席で初ホームランを記録。引退後は、オーストラリアで日本語教師を務め、帰国後、あらゆるメディアでスポーツの醍醐味を伝えている。

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