現状を打破するITコーディネータ 中小企業の頼れる助っ人 vol.1

オートスナック

栃木県鹿沼市

三品浩文社長はフリーポン設置後3カ月間のデータを検証、売り上げ本数は前年比でおよそ2倍になったという

ITCのアドバイスにより補助金獲得と業務可視化を達成

ITコーディネータ(ITC)の活躍の範囲は広い。鹿沼商工会議所の会員企業・オートスナックは、「ものづくり補助金」や「中小企業IT経営力大賞」など、中小企業を支援する国の施策に応募し、結果を出すための事業計画の策定とその実現にITCの知見を役立てた。その過程で業務の問題点が可視化できたことでさらなる飛躍を目指す。

大手飲料メーカーの特約代理店として、栃木県鹿沼市を中心に自動販売機のオペレーション業務を行っているオートスナック。1973年11月の創業以来、堅調に自社が管理する自販機の数を増やしていた。

だが集客力の高い市役所などの公共施設の自動販売機設置に一般競争入札が導入された2008年頃から、社長の三品浩文さんは先行きに不安を感じ始めた。競争入札では、体力のある大手オペレーターが優位に立つからだ。

自動販売機を地域PRや企業広告に役立てる

そこで三品さんは鹿沼商工会議所と同所のシステム管理者だったPNCネットワークサポート(以下、PNC)と連携して知恵を絞る。飲料ボトルにスマホで読み取れるQRコードのシールを貼り、地元企業や地域のPRに役立てるとともに、広告収入を得るアイデアを実現しようとした。だが、飲料メーカーに、ボトルにシールを貼ることは認められないと断られてしまった。

打開策を模索していた三品さんは、コインパーキングの集中精算機から感熱式の領収書が打ち出される様子を見て、自動販売機にプリンターを組み込みクーポンを発券するアイデアを思いついた。自販機の改造になるが、飲料メーカーには試作機ということで了解を取り付け(後に正式な承認を得た)、同所、PNC、栃木県産業振興センターの協力も得て、ご当地自動販売機 「フリーポン」を完成させた。

当初から三品さんを支援していた同所指導課課長の君島敏之さんは、その先進性に着目し三品さんに「中小企業IT経営力大賞」(経済産業省、日本商工会議所など共催)への応募を勧め、日本商工会議所、ITコーディネータ協会とも相談して、この分野に専門的な知見を持つITC・野田和巳さんを紹介した。

野田さんは、ITコンサルティング事業を手掛ける企業、スキット(宇都宮市)の取締役であり、業務可視化コンサルティング、情報セキュリティコンサルティング、業務アプリケーション開発を専門分野とする。その結果同社は14年、「中小企業IT経営力大賞」のIT経営実践認定企業に選ばれた。

稼働が始まると、新たな課題が見えてきた。クーポンに印字されるデータの更新作業に時間をとられるようになったのだ。従業員が手作業でデータを更新しなければならない自販機がおよそ100台もあった。

解決策はIoT(モノのインターネット)化だ。そこで三品さんは「フリーポン」に通信機能を持たせ、クラウド経由で本社のPCから一斉にデータを更新したり、自販機ごとに異なるデータを送ったりすることができる「IoTフリーポン」の開発を決断した。

自社の問題点に気づきを得て課題解決へ

しかしIoTシステムの開発は、一段とハードルが高くなる。

そこで引き続き野田さんの支援を受け、IoT活用と開発費用に充てる「ものづくり補助金」に応募し、採択を受け「IoTフリーポン」が完成した。

「ITCの野田さんの支援がなければ中小企業IT経営力大賞の認定や補助金の獲得、フリーポンのIoT化の実現は難しかったでしょう。それに加え申請に関わる事業計画策定の過程で、当社の問題を整理し、解決策を見つけることができたことは大きな収穫でした。野田さんは私に気づきを与えてくれました」

そう三品さんは振り返る。「当社の従業員はセールスをしたり、自販機の管理をしたりと外回りが主な仕事ですが、1日の移動時間や現地での作業時間、それらにかかるコストなどをはっきり把握していたわけではありません。野田さんの支援を受けて業務の可視化が可能になりました。改めてこんなに時間とコストがかかっていたのかと驚きました」

グッドデザイン賞を受賞・攻めのIT経営中小企業百選に選定

16年には「地元の優れた商品や企業を地域の消費者と結びつけることで、『ものとサービスの地産地消促進』を目指す」というコンセプトが評価されて、「グッドデザイン賞2016」(日本デザイン振興会主催)をPNC、スキット、晃南印刷(鹿沼市)とともに受賞した。また、17年には、ITの効果的な活用に積極的に取り組み成果を上げている中小企業として、経済産業省で実施している「攻めのIT経営中小企業百選2017」に選定された。

三品さんは「フリーポン」のシステムを活用した新たな展開を考えており、IoT化された自販機を通じてさまざまなデータを収集中だ。データを分析して発券する自販機や時間帯を絞り込めば、「局所的集中的に情報を発信したいという要望にもお応えできる」わけだ。特許や実用新案を申請・取得しているため、全国の地元企業との協業による「フリーポン」サービスの展開も視野に入れている。今後は一層ITCの力を借りる場面が増えそうだ。

会社データ

社名:株式会社オートスナック

所在地:栃木県鹿沼市塩山町806番地2

電話:0289-75-4088

HP:http://www.autosnack.jp

代表者:三品浩文 代表取締役

従業員:5人

※月刊石垣2018年11月号に掲載された記事です。

ITコーディネータとは?

ITコーディネータとは、真に経営に役立つIT利活用に向け、経営者の立場に立った助言・支援を行い、IT経営を実現する人材です。現在、経済産業省の推進資格として、約6300人の資格保有者が全国各地で活動しています。

HP:https://www.itc.or.jp

支援ITコーディネータ 株式会社スキット 取締役 一般社団法人情報の森理事 野田 和巳さん システムエンジニアとして、主に栃木県内の企業・官公庁のIT化に従事。2004年以降はITコーディネータとして業務の中心をコンサルタントにシフト。市町村合併におけるシステム統合等の大規模プロジェクトに参画。現在、業務を定量的に「見える化」する業務分析手法により中小企業を中心に業務改革・組織改革も視野に入れた効果的なITの導入支援を行っている
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