現状を打破するITコーディネータ 中小企業の頼れる助っ人 Vol.4

サカタ製作所

新潟県長岡市

社内のシステム開発を担当する一方、新製品のかき氷機を開発した総務部の小林準一部長(右)と樋山智明課長(左)

ITCと課題を共有しコミュニケーションシステムを一新

新潟県長岡市のサカタ製作所は、太陽光発電向けソーラーパネル取り付け金具の需要増により業績を拡大した。再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の施行による見積もり需要の急増を受け、快速見積システム「SaQS(サックス)」を2012年から開発・提供し、経済産業省主催「攻めのIT経営中小企業百選2017」に選定された。

創業者の思いを受け継ぎ業務用かき氷機を開発

サカタ製作所の攻めのITは、「SaQS(サックス)」にとどまらない。FITの見直しにより金具の需要が減ってくると、金属屋根部品のてこ入れを図る一方で、「SaQS」の開発・導入を主導した総務部が主体となって新製品を開発し、新市場の開拓に力を入れ始めた。その新商品が業務用電動かき氷機「アイスフレーク」である。

取締役総務部長の小林準一さんによると、創業者の坂田省司さんが病床で発した「食のような、人を笑顔にできる仕事は最高だ」という言葉がきっかけになったという。1年以上も試行錯誤を繰り返して、2018年9月に「アイスフレーク」を完成させた。 ふわふわからシャリシャリまで削りたい食感に応じて氷の回転数や上から氷を押さえる下降速度などの調整が自在に変更できる。氷を削る刃のテーブルは取り外せて洗えるなど衛生面の配慮も怠らない。本体にデザイン性を持たせ「カフェカウンターに乗せて見せるマシンに仕上げたい」(小林さん)。

さらに「アイスフレーク」の付加価値を生み出すために、AI・IoT技術を活用した新たなビジネスモデルも視野に入れている。「SaQS」の立ち上げで協力を仰いだTKネットサービスに所属するITCの石垣比呂志さんと「見える化」(氷の温度、刃の角度、切れ味など)、「つながる化」(設置店舗の位置情報や気温、天候、稼働状況やアラーム状況をIoT経由で取得し、AIにより解析・フィードバック)について「意見交換を重ね、実現性検証を進めています」(小林さん)。

ITCのアドバイスにより社内コミュニケーションを改善

本業の金属屋根部品、新市場に投入するかき氷機。業務の範囲が拡大し多忙になると、希薄になりがちなのが社員間のコミュニケーションだ。同社の拠点は長岡市の本社と東京、大阪に設置した営業所の3カ所。12年より情報環境の整備に本格的に取り組んでいる。当初は、オンプレミス(自社で設置・運用)で構築したサイボウズを使って社内メールとスケジュールを管理していたため、外回りの多い営業員は社に戻ってメールやスケジュールを確認しなければならなかった。

その不便さや非効率を解消するため、石垣さんはクラウドサービスの活用を提案、複数の選択肢の中から「Microsoft Outlook」の使いやすさが決め手になり、「Microsoft Office 365」の採用を決めた。

この新しいコミュニケーション環境は、着手からわずか3カ月後の12年3月から利用できるようになった。総務部ITシステム課課長の樋山智明さんは「新しい環境では、メールシステムにExchange Onlineを活用しています。Microsoft OutlookとOOW(Outlook on the Web)を併せて活用することで、インターネットさえあれば、いつ、どこにいてもメールとスケジュールを確認できます」と評価する。

業務効率が大幅に改善され、営業員の平均2時間の残務作業が削減、1カ月あたりの改善効果は約80万円にのぼった。 全体の予定表や個々のタスクの共有も図られ、全社員の在席情報を見ながら、インスタント メッセージやメール、音声通話など複数のコミュニケーション手段を使ってやりとりができるようになった。それでいて詳細な権限設定もできるため、高度なセキュリティーをも保っている。

新機能を取り入れることで情報伝達・意思決定が強化

同社のコミュニケーションシステムは進化を続けている。例えば報告・連絡・相談には、Yammer(社内SNS)やTeams(チャット、ビデオ通話)を利用した双方向のコミュニケーションで、情報の確実な伝達、迅速な意思決定、ノウハウ・ナレッジの蓄積・展開につなげている。モバイルワークでは、企業向けモバイルアプリ開発ツール「PowerApps」を自社向けに活用。Office365(クラウド)経由でデータベースへ接続し、外出先からスマートフォンで在庫確認ができるアプリを構築、顧客対応のスピードアップを実現といった具合だ。

ノウハウ・ナレッジの収益化にも積極的で、18年より社内ポータル構築やPower Apps/Flowを使ったモバイルアプリ開発をTKネットサービス経由で外販し、初年度は約100万円の受注実績を残した。

石垣さんはITコーディネータとして、課題に応じた解決策の助言・指導を適宜行うとともに「ビジネスパートナーとして、定期的なIT基盤のアセスメントによる中期的なIT投資計画を共有しています。またIT利活用動向や生産性向上に役立つITツール、先行事例の紹介などを定期的に行い、自発的な気づきや発見、行動につながるように心がけています」と話す。

同社はITCと問題を共有することで、コミュニケーションの改善と生産性の向上を実現、付加価値向上につながるIT利活用に向けた取り組みを進めている。

会社データ

社名:株式会社サカタ製作所

所在地:新潟県長岡市与坂町本与坂45番地

電話:0258-72-0072

HP:https://sakata-s.co.jp

代表者:代表取締役社長 坂田匠

従業員:166人

※月刊石垣2019年2月号に掲載された記事です。

ITコーディネーターとは

ITコーディネータとは、真に経営に役立つIT利活用に向け、経営者の立場に立った助言・支援を行い、IT経営を実現する人材です。現在、経済産業省の推進資格として、約6300人の資格保有者が全国各地で活動しています。

HP:https://www.itc.or.jp/

支援ITコーディネータ
株式会社ティーケーネットサービス シニアコンサルタント/ ITC新潟
石垣 比呂志さん
ITコンサルタントとして、主に新潟県内の企業に対して、クラウド・モバイル時代におけるIT投資の全体最適化を支援。2012年よりITコーディネータ。
ミラサポ専門家派遣やエキスパートバンク制度を通じて、中小企業におけるITの利活用、業務の効率化・生産性向上について助言・指導を行っている
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