日本商工会議所と全国観光土産品連盟が1271点の土産品から優れた商品を選定。特に最も優れた商品に授与される大臣賞と日商会頭賞を1品ずつ紹介する。
岩手県盛岡市にある「螺鈿 澤井工房」は、アワビ貝や夜光貝を、漆地や木地などに乗せて研ぎ出す漆工芸の技法を使用した螺鈿(らでん)ジュエリーなどを作製している。職人による手作業にこだわり、糸ノコギリ用いた繊細な透かし彫りを特徴としている。主に黒檀(こくたん)を使用した土台づくりから完成まで一貫して同工房で制作。貝はサクラのような美しく華やかなピンク色が特徴の三陸産のアワビ貝を主に使用している。
平成23年3月11日、東日本大震災で、当時、宮古市にあった工房は津波の被害に遭った。自宅も工房も失ったが、その技は消えなかった。
翌24年、工房の代表でもある職人・澤井正道さんは、さまざまな人の協力を得て、盛岡市に移転することを決意。多くの人に螺鈿の魅力を伝えるため、高級なジュエリーのほかに、気軽に使える「螺鈿の黒檀ストラップ」も手掛けるようになった。同商品には漆を使用していないため、通常のラインナップより手頃な価格となっている。この商品は、澤井さんと妻の晶子さんが共同で開発したものだ。震災を乗り越え、世代を問わず愛される商品として、高い評価を得た。
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