太平燕(たいぴーえん)は中華料理のようで、れっきとした熊本の「郷土料理」だ。中華どんぶりにたっぷり注いだスープの中で春雨が泳ぎ、それを覆い隠すように、炒めた野菜や魚介類が乗っている。なんとも食欲がそそられる。
もともとは、中国の福建省にある同名の料理が明治時代、熊本に伝わった。現地ではアヒルの卵を入れたスープ料理だが、熊本では鶏やウズラの卵と春雨を使用し、オリジナルな麺料理となった。
「紅蘭亭(こうらんてい)」の太平燕は豚骨と鶏ガラから採ったスープを基本とし、緑豆100%の春雨を使用。豚肉、エビ、イカ、金針菜、キクラゲ、キャベツなど10種類の具が盛り込まれる。具材から出る自然のうま味に、福建省の天然塩を少しだけ使うのも特徴とか。ほのかにゴマ油の香りが漂うのも、うまさを引き立てている。
熊本市内の多くの食堂で太平燕が食べられるので、太平燕が全国区のメニューだと思っている熊本市民も多いそうだ。低カロリーで野菜が豊富、スープはコクがあって飲みごたえ十分。確かに今まで全国に知られていなかったのが不思議である。
太平燕には、〝天下泰平の宴〟という意味もあるという。世界平和を祈ってみんなで食べたい名物だ。
Data
社名:株式会社紅蘭亭
住所:熊本県熊本市中央区安政町5-26
電話:096-352-7177
Information
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