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「下町育ちの再建王」の経営指南 起業大国 イスラエルから学ぶ

私が親しくお付き合いしている経営者が、昨年10月、イスラエルのエルサレムやテルアビブを視察してきました。そのレポートに学ぶべきものが多かったので紹介させていただきます。

ご存じのようにユダヤ人は、あらゆる場面で命を狙われ続けている民族ですが、頭が良いことでも知られています。私たち日本人も頭が良いと言われますが、これは1200年から1800年代までの間、厳守された武士道により、いつでも腹を切る覚悟で生きてきたことに関係があるのではないか、と私は思っています。人は命の危険を感じているからこそ必死に生きるのでは、と考えるわけです。

彼の旅の目的は『アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?』(ダイヤモンド社 原題『Start-up Nation』)という書籍を読んでイスラエルの驚異的な力を知り、イスラエルのハイテク企業とテルアビブ大学などを訪問して、その現状を自分の目で見て、肌で感じたいというものでした。

イスラエルは、人口当たりの起業率が世界でもっとも高い起業大国。人口当たりのノーベル賞受賞、博士号、特許の取得も断トツで世界一だそうです。

 社会を変えるような技術革新は、次の2タイプがあります。①安定した環境下、チームワークで生み出す高レベルの『改善』によるもの、②奇人変人が少人数で生み出す『全く新しいもの』。日本のお家芸は①で、イスラエルは②、というわけです。

イスラエルの人々はなぜ起業家精神に富むのか、産官学一体となり国を挙げて起業のスタートアップを支援するのはなぜなのか、それはこの民族の特殊な経験を背景とした要因から育まれたと考えられます。その要因とは以下の5つ。

1 失敗を許容する文化。成功よりは失敗の数を自慢する。

2 階層や階級のない人間関係。組織の中の上下関係は議論の場では関係ない。

3 リスクを恐れない。信じたことを行動に移せないことをむしろ恥とする。

4 過剰なまでに自分に自信をもち、大胆な行動をとる。

5 目的合理性。建前はなく、本音で生きる。

日本社会とは真逆とも言える内容ですね。

イスラエル視察の話を紹介させていただいた理由は、「では、あなたの会社は日本の体制を守りますか? イスラエルの体制を目指しますか?」ということです。

東京オリンピック後の不景気や、中国が経済覇権を握るかもしれない今、御社は今のままでいいのでしょうか。若い人の意見、能力のある人の発想をより早く取り入れられる次の体制を、5年後、10年後のために考えてみてください。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長(前 船井総合研究所 代表取締役会長) 昭和22年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。59年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。平成12年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。22年には代表取締役会長に就任。25年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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