日本商工会議所は2日、要望書「第4次安倍内閣に望む」を取りまとめ、安倍晋三首相をはじめ、政府など関係各方面に提出した。要望書では、「人手不足の克服に向けたサプライサイド強化型の成長戦略の実行」「地方創生の加速化とその主役となる中小・中堅企業の活力強化」「社会保障制度改革の断行による将来不安の払しょく、財政健全化の推進」について早急な取り組みを求めている。(関連記事、要望書全文2面に)
1日の第4次安倍内閣発足を受け、日商の三村明夫会頭は、「多くの国民に支持された政権ゆえの責任の重さを十分に認識いただき、経済最優先の方針の下、『成長する経済』の実現とともに、国民や企業の中に漂う将来不安の払しょくに向けて、構造改革を断行することを期待」とコメント。要望書でも、「一部の人には痛みを伴う政策でも、丁寧な説明とオープンな議論により国民の総意を形作り、改革を断行することが責務」と新内閣に対する期待を示した。
具体的要望項目としては、サプライサイド強化型の成長戦略の実行のため、潜在成長力強化の主体である企業活動を後押しする環境整備、深刻化する人手不足の克服に資する女性や高齢者など多様な人材の活躍に向けた方策の検討・実行、賃金を円滑に底上げするための生産性向上や取引条件の適正化に向けた取り組みの後押しなどを要望。生産性向上については、ロボット、IoT、人口知能の活用に対する中小企業の気付きが重要と指摘している。
また、中小企業の活力強化のため、観光・農林水産資源の活用、円滑な承継を可能とする諸外国並みの事業承継税制の確立などを主張。開業率の引き上げに向けた創業・第二創業への支援も要望している。
さらに、日本の財政については、「厳しさを増しており、現実的な想定の下に財政再建への道筋を明らかにし、着実に実行することが不可欠」と強調。歳出の柱である社会保障給付の重点化や効率化の徹底、高齢世代から現役・子育て世代への大胆な資源の再配分が必要としている。また、教育の無償化については、「その範囲を慎重に考えるべきであり、仮に、財源として消費税の増収分を使わざるを得ないのであれば、軽減税率の導入を見送るべき」と求めている。