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「下町育ちの再建王」の経営指南 年末年始は、戦略を練る良いチャンス

「戦闘、戦術、戦略について、分かりやすく説明してください」と問われて、的確に答えられる人は、そう多くはいません。いろいろな答え方があると思いますが、一番分かりやすいのは時間で説明することです。

2週間先までのために、今、何をすべきかを決めることを戦闘。1カ月から半年の間のために何をしなければならないかを決めることを戦術。1年から3年、5年、場合によっては10年先のために今、どうするべきかを決断することが戦略です。

仕事に例えると、「店が汚いから掃除しなさい」とか「棚をきちんと整理して、商品の抜けを埋めなさい」など、日々の雑務は戦闘。チラシや販促方法を変えるとか、HPの情報更新、商品のラインアップをチェンジするというのは戦術。売り場面積を広げるとか、店舗の移転や駐車場の増設などの不動産の交渉事は、自社だけの問題ではないので戦略となります。

商売に欠かせない『お金』という視点での戦闘は、日々売り上げ目標を掲げ、そのノルマを達成することです。戦術は、定期的なセールの売り上げは1千万円だけど、今回は5千万円を目指す。そのためには約5倍の仕入れをしなければならない。その支払日をいつにするか。さらには、セールのための釣り銭を前日までに用意しないといけない……、といったことです。戦略は、大きなお金を動かす時の『資金繰り』というわけです。

戦略は通常、組織のトップが考えることですが、「10年先には、こんなふうになっていたい」といった夢レベルの旗を掲げることでもあります。これが人の気持ちを引っ張って企業を成長させていく場合もあります。大切なことですが、これはトップと役員が決めるものです。

私は、夢のような戦略を語ることはありません。コンサルタントの私にとっての戦略とは、具体的な実行戦略しかないのです。トップが目標を決めたら、私はその場所に行くための戦法を練ります。現場の戦闘から考えて、1カ月後にはどうしないといけないか、それをやり切った上で、半年後にはどうなっているか、次の1年ではどういう決定をしないといけないか、それができたら3年目は……、5年目は……、そして7年後にはこういう企業にするんだと、一つひとつ詰めて計画を立てていきました。戦略は金もかかるし組織を動かさないといけません。役員を味方にしないと駄目です。私が上手(うま)くいった要因に、小さなギアチェンジを3カ月ごとに行い、20回かけて徐々に会社を変えたことがあります。組織は急には変わらないのです。

年末年始は、組織の将来の形を考える良いチャンスです。皆さまもこの機会に、ご自分の実行戦略を組み立ててみてください。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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