日本商工会議所の三村明夫会頭は9日、国際商業会議所日本委員会(ICC JAPAN)主催の「第4回ICCアジア・大洋州CEOフォーラム」で基調講演を行った。三村会頭は、現在の世界経済を「不安の中での繁栄」と指摘。「グローバル化が進む世界において、われわれ各国の商工会議所が常に連携しながら、企業をサポートしていくことが重要だ。お互いの国々の発展、企業の活力向上、課題克服に寄与していけるよう、全世界の商工会議所のネットワーク・情報網を積極的に生かしていきたい」と語った。(講演全文3面に)
初の日本開催
同フォーラムは、アジア・大洋州地域のCEO、国際機関のリーダー、日本のビジネスリーダー、学術研究者らが集まる国際会議で、初めて日本で開催された。「世界経済の現状・今後の方向」をテーマとした基調講演の他、「未来を変える:テクノロジー、貿易、アジア大洋州地域の将来の役割」「イノベーションと起業家精神を通じた国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成」をテーマにパネルディスカッションを行った。
三村会頭は基調講演で、世界経済の不安要素として、①北朝鮮・中東などにおける地政学的不安②反グローバリズムの動き③中国の台頭とそれに伴う期待と不安―の3点を挙げた。その上で「このような不安を抱える中、日本国内では、財政赤字という大きな課題はあるものの、企業収益や雇用の改善という形で経済の好循環が生まれつつあり、この好循環を力強く回転させていくことが課題となっている」と述べた。
さらに、日本経済の持続的成長に向け、「レベルの高い経済連携協定の締結による自由貿易の推進」「社会保障制度の抜本的改革などによる財政の健全化」「バランスのとれたエネルギー政策の実現」「規制・制度改革の断行」といった取り組みを政府に訴えていく考えを示した。
最新号を紙面で読める!