~まちづくりは人づくりから~
商工会議所青年部(YEG)は、先人たちが継承してきた文化を礎に、地域活性化や次世代育成のための事業を数多く実施している。平成29年度日本YEGの吉田大助会長も所信の中で、「将来を担う子どもたちの郷土愛を育むことなどを通じた地域のアイデンティティーの継承」の重要性を強調。実際に各地のYEGメンバーは、地域の祭りやイベントに積極的に関わったり、次世代を担う子どもたちへの職業教育を行ったりと、郷土愛の育成と、地域のアイデンティティーの継承・確立に助力している。
地域を支える次世代へ 郷土愛を醸成する事業を展開
各地のYEGが行っている「地域活性化と次世代育成」を目的とした事業の一つに、長岡YEG(新潟県)の「高校生長岡ラーメン選手権」がある。長岡市が人口対ラーメン店舗数が全国2位であることにちなみ、23年度から毎年、「ラーメン」を題材にした模擬店の出店・運営を競い合うイベントを開催。これに参加するのは地域の高校生たちだ。高校生自身がメニューの考案から食材の調達、調理や接客、店舗の装飾など、事業計画の策定・経営を行うことで、郷土愛を持った起業家育成につなげている。
また、会津若松YEG(福島県)は12年度から、地域における起業家育成支援事業として「ジュニアエコノミーカレッジ」を実施。小学5、6年生が模擬株式会社を設立し、計画、仕入れ、製造、販売、決算、納税までの一連の業務を行うものだ。同事業を通じて、さまざまな場面で子どもたちが「自分自身で決める」ことにより、仕事に対して「やりがい」と「責任」を感受し、「自分で決めたことこそ“答え”なのだ」と認識させることを目的としている。さらに、23年11月には、同YEGのOB・OGが中心となって特定非営利活動法人(NPO)ジュニアエコノミーカレッジを設立。本事業の仕組みを全国へ展開するための普及活動を行っている。
スケールメリットを生かし県単位で未来を描く
福井県商工会議所青年部連合会では、福井県内の7単会(福井、鯖江、武生、大野、勝山、敦賀、小浜)が連携してキャリア教育事業を行っている。今年度で34年の歴史を刻む同連合会には、500人超のメンバーが在籍。同連合会が今年度の重要事業として掲げているものの中に、「未来ビジョン委員会のキャリア教育事業」がある。同委員会は、「地域の宝である子どもたちに、福井の魅力を知ってもらう・福井に誇りを持ってもらう・郷土愛をもって福井に根差す“ひとづくり”」を目的とした事業を行っている。
具体的には、県内産業で活躍するメンバーが講師となり、子どもたちに愛と情熱をもって、仕事の大切さ、楽しさ、苦労を伝えていく体験型学習だ。誇りをもって地元で働くYEGメンバーの姿を伝えることで、キャリア教育の観点・人材確保・企業PRを兼ね備えた内容となっている。こんなに凄い会社が福井にあるという事、かっこいい大人たちが地元福井にはたくさんいるんだということを知ってもらい、郷土愛の醸成につなげたいとしている。
昨年度9~11月、未来ビジョン委員会はプレ事業を開催。同事業は行政にも評価され、今年は県からの補助金採択を受けた。今年度はさらにブラッシュアップした内容で開催することとなっている。
地域の将来を担う次世代の育成は、地域で生きるYEGにとって、重要な役割の一つである。同事業は日の当たらない地道な活動となるが、YEGの「力」(POWER)を最大限に発揮し、今後も「人づくり」を通じた「まちづくり」に取り組んでいく。
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