燕商工会議所(新潟県)に事務局を置く共同受注組織「磨き屋シンジケート」(燕市内の金属研磨業者などを中心に組織)が昨年12月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の依頼を受注。同月18日、調布航空宇宙センター内で、特殊研磨を得意とする事業所が2日間の出張研磨を行った。
今回、JAXAから依頼されたのは、超音速で飛ぶ飛行機やロケットに加わる空気力・圧力を調べるための実験装置「超音速風洞」の研磨だ。この設備の問題は、超音速の風を出す際にわずかに含まれる〝ちり〟がステンレス製の内壁にぶつかり、細かい傷ができてしまうこと。精密な実験を続けるためには3~5年ごとに内壁を研磨し、滑らかにする必要があるという。
磨き屋シンジケートは、不況による受注減少を乗り越えるため、「価格競争ではなく高度な技術力を持つ職人を組織化することで、付加価値の高いサービスを提供する」というコンセプトのもと、同所が平成15年に立ち上げたもの。大企業では受注が難しい小ロット・低コストの案件や、職人による特殊技術が必要とされる研磨に対応してきた実績がある。過去には、米国のアップル社のiPodをはじめ、製薬会社のタンクや半導体製造装置の部品なども磨いてきた。
同所は、「JAXAからの直接受注は今回が初めて。今後も組織力をフルに生かしていくとともに、独自ブランドのビアマグなど、金属の特性を生かした商品開発に力を入れたい」と話している。
問い合わせは、同所(☎0256・63・4116)まで。
最新号を紙面で読める!