日本商工会議所はこのほど、東京商工会議所と共同で商工会議所版地方創生白書「商工会議所発!地方創生~東京と地方が共に栄える地域活性化を目指して~」(写真)を初めて発行した。同白書は、商工会議所の地方創生に向けた活動の点検と好事例の見える化、および地方創生気運の再喚起と東京と地方が共に栄える地域活性化を目的に制作。2015年度からの5カ年計画「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中間年である昨年度に、政府が同戦略の各施策について総点検を実施したことに合わせて作成した。
同白書では、日商が昨年度に全国の商工会議所を対象に実施した「商工会議所の地方創生事業に関する調査」などにより収集した好事例の内容と成果を紹介している。また、その中で明らかになった、地方版総合戦略の進捗(しんちょく)状況、農商工連携や観光振興についての課題も分析・整理している。その上で、商工会議所の取り組みを一層強化するとともに、政府に対し、情報・人材・財政支援などの環境整備により、各地の取り組みを強力に後押しすることを求めている。
各地で生まれた地方創生につながる好事例の特徴については、①戦略策定・改訂への参画、②地方で安心して働ける仕事づくり、③地方への人の流れをつくる・若い世代の希望をかなえる、④安心・安全でにぎわいのあるまちづくり、⑤地域の魅力発信──の5類型に分類。広域連携による事業承継支援、市内の農家と連携した新商品開発、UIJターンに向けたインターンシップ事業、まちなか交流拠点の整備など各種事例を紹介している。
地方創生の深化に向けては、商工会議所としては、事業承継・創業支援、農商工連携、観光・インバウンド、まちづくり、震災復興・福島再生、復興五輪・MICEの推進、キャリア教育などを通じた産業人材の地方定着と地域力の強化が必要と指摘。政府に対しては、各地自治体での地方版総合戦略の推進体制の有無やKPIの進捗状況を検証し、成果や問題点の見える化と公表、経済・社会環境などの変化に合わせた改訂に向けた働き掛けを要請している。
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