日豪経済委員会の会長を務める日本商工会議所の三村明夫会頭は7月5日、リチャード・コート豪州大使を訪問し、同委員会で取りまとめた「豪州就労ビザ(サブクラス457)の廃止・改正の改善要望」を提出し、意見交換を行った。4月に豪州政府から発表された豪州就労ビザの廃止・改正は、豪州に進出する日本企業へ大きな影響を与えることが想定されるため、改善措置を要請した。
滞在期限延長など措置
豪州では外国人労働者の入国抑制と国内雇用の確保を目的として発給条件を厳格化していた。それを受け、同委員会では、メンバーなどにアンケート調査を実施し、要望を取りまとめた。要望内容は次の通り。
(1)短期技能職リスト、ビザ期限短縮化の見直し
経営幹部の滞在期間が2年間へ短縮されたこと対し、4年以上の延長複数回更新を復活
(2)申請可能職種コードの復活
216の職種削減に対し、一部職種の復活
(3)経営幹部の派遣に伴う売上高・雇用制限の撤廃
経営幹部の派遣時、年間売上高100万豪ドル、現地雇用スタッフ5人以上の要件の撤廃
(4)英語要件必須化の免除措置
年間給与9万6400豪ドル以上は、英語要件免除を復活。また改善措置として、TOEICを容認
(5)犯罪経歴証明書提出必須化の是正
(6)過去2年以上の関連職務経験の義務化撤廃
(7)就労ビザ取得費用の免除・削減
意見交換で、コート大使から「タイムリーに意見をまとめていただいたので、政府へ提案することができた」とのコメントがあり、以下の通り要望に対してのフィードバックが行われた。
(1)について:短期技能職リストから23職務が中長期リストへ復活し、経営幹部の滞在期限が4年間へ延長、更新回数は無制限に
(3)について:経営幹部の派遣に伴う年間売上高・雇用制限撤廃
(4)について:企業内出向者による英語要件の除外(従来通り年間給与9万6400豪ドル以上)、5種の英語テストが使用可能(TOEICは対象外)
(6)について:一部職種に対する、関連職務経験の義務化の撤廃
三村会頭は、「迅速に行動していただき、相当改善されたことに感謝する。引き続き協力いただきたい」と述べた。
要望内容については、事前に豪州政府に伝え、検討されており、今回の訪問により改めて回答を得たもの。なお、同委員会では、引き続き改善を求める部分について、さらなる要望活動を行っていく。
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