日本商工会議所はこのほど、日本経済団体連合会、経済同友会と共同で「デジタル・ガバメントの実現に向けた緊急提言」を取りまとめた。6月14日には、日商の石田専務理事はじめ各団体代表が松山政司内閣府特命担当大臣を訪問し、提言を手交した。
提言では、行政の在り方をデジタル前提で見直す「デジタル・ガバメント」について、「行政機関の生産性向上・働き方改革や財政健全化を進める上で不可欠の基盤であり、行政手続きが簡素化されることにより、煩雑で大量な行政手続きを強いられている国民や事業者に多大な恩恵をもたらす」と指摘。次期国会に向けて政府が準備を進める「デジタルファースト法案」が、国・地方を通じた行政サービスのデジタル化の鍵としている。
具体的項目としては、①全ての行政手続きのデジタル化および行政機関間の情報連携などを通じた添付書類の撤廃、②行政手続きにおける出頭・対面の原則廃止、③署名・押印に代わるデジタル技術を用いた本人確認の原則化、④手数料支払いのキャッシュレス原則化およびデジタル化に伴う手数料の引き下げ、⑤国・地方を通じた業務改革・業務標準化とデジタル化の徹底──の5点を要望。国・地方が連携して旧来の制度・業務フロー・慣習を一掃し、デジタルを前提とした新しい社会への大転換を図るよう求めている。
また、提言では、「国民や事業者がデジタル・ガバメントの便利さを実感できるプロジェクトの早期実現も欠かせない」と強調。マイナンバーカードの普及加速やできるだけ簡易な形での電子認証手段の確立、中小企業を含む全ての事業者が容易にデジタルで手続きできるようにするための行政システムAPIの整備・提供と並行して、法人設立、従業員の社会保険・税、子育て・引っ越し・介護・死亡・相続といった手続きのオンライン・ワンストップ化の具体的な工程を示し着実に推進する必要があるとしている。そのため、政府の成長戦略や各府省の中長期計画にプロジェクトの推進体制や取り組み内容、工程表、モニタリング方法および評価の仕組みを明記し、各府省一体となって迅速に実現することも要望している。
最新号を紙面で読める!