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商法(運送・海商関係) 120年ぶりの改正

2018年5月25日に運送・海商関係に関する改正商法が公布さ た。運送契約の規定の実質的な見直しが行われ、19年をめどに施行される見通しだ。日本商工会議所では、法制審議会に委員を派遣し、中小企業の立場から意見を述べた結果、企業実務に配慮された改正となった。

今回の改正では、経済や社会情勢の変化に対応した規定が新設されるとともに、これまでの判例や実務で定着している商慣習が明文化された。企業においては、契約書やリスク管理、業務手順などに影響が出る可能性がある。

■運送に係わる利害関係者(用語説明) 運送に係わる利害関係者は、①物品の運送を依頼する「荷送人(におくりにん)」、②運送の引き受けを業とする「運送人」、③運送された物品を引き受ける「荷受人(にうけにん)」の3者である。なお、①「荷送人」とは、荷物の所有者である荷主、または荷主からの依頼を取り次ぐ運送取扱人(例:総合物流業者、フォワーダー、宅配業者など)のいずれかである。

■危険物の通知義務 「荷送人」が「運送人」に物品が危険物であることを通知する義務が明文化された。危険物は、「引火性、爆発性その他の危険性を有するもの」と定義され、例えば火薬類やガソリン、引火性ガス、化学薬品の一部などが該当する。「荷送人」の過失により、物品が危険物であることを「運送人」に対して通知せずに事故が起きた場合、損害賠償を請求される恐れがある。

■高価品運送の賠償責任 「物品が高価品であることを運送人が知っていた」もしくは「運送人の故意または重大な過失によって高価品の滅失、損害または延着が生じた」場合は、運送人は免責されないことが明記された。

■物品の滅失損傷に対する責任期間 「運送人」が物品を滅失損傷した場合の責任について、これまでの最大5年の時効期間から、改正商法では物品の引き渡し日から1年以内に裁判上の請求がされなければ、責任が消滅する制度(除斥期間)に変更された。なお、「荷受人」が「運送人」に対して損傷・不足を通知する期限(クレーム期間)は、外航運送で3日以内(国際海上物品運送法)、内航運送で2週間以内(商法)、または契約などで定められている。

■全部滅失による損害賠償 「運送人」が物品の全てを滅失し、引き渡しができない場合、これまでは「荷受人」が「荷送人」から損害賠償請求権の譲渡を受けない限り、「運送人」に対して請求することができなかった。改正後は、「荷受人」は「運送人」に対し、損害賠償を請求できるようになった。 その他、国内航空運送や複合運送に関する規定などが新設され、商法の対象が広がった。また、商法の全文が平仮名・口語体に改められて、今回の改正で「六法」と呼ばれる基本法の全てが口語体に統一された。

日本商工会議所では、荷主・荷受人となる各企業が法改正の要点を理解し、必要な対応・準備を行えるよう、普及啓発活動を行っていく。 (日本商工会議所産業政策第一部)