日本商工会議所は6月29日、6月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は6月14~20日。全国423商工会議所が3724企業にヒアリングした。
6月の全産業合計の業況DIは、マイナス15・4と、前月からマイナス1・8ポイントの悪化。原材料費や燃料費上昇による負担増を指摘する声が多く寄せられたほか、深刻な人手不足や消費者の節約志向、さらに、平年より早い梅雨入りの影響により、小売業、サービス業の業況感が悪化した。他方、好調な電子部品や産業用機械、自動車関連に加え、建設業も堅調に推移している。中小企業の景況感は、総じて緩やかな回復基調が続いているものの、足踏み状況が見られる。
ヒアリングした企業からは、「貸家を中心とした住宅投資や、公共工事が減少していることに加え、鉄鋼を始めとする建設資材価格や、人件費などの上昇により、売り上げ・採算ともに悪化した」(管工事)、「パート・アルバイトの人件費や電気代などの上昇に加え、消費マインドの低迷から、同業他社との価格競争が激化し、採算悪化となった」(飲食料品小売)といった不安の声が寄せられた。一方、「化粧品や宝飾品を中心にインバウンド需要が好調なため、売り上げは改善。これを機に、非正規社員の時給を引き上げ、人手不足の解消を図る」(百貨店)、「業務用システムやウェブサイトの作成依頼が多く、売り上げは改善。収益増を従業員に還元するため、今夏の賞与を増額する」(ソフトウエア)などの前向きな意見も聞かれた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス13・3(6月比プラス2・1ポイント)と改善を見込むものの、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。個人消費の持ち直しやインバウンドを含めた夏の観光需要拡大、生産や設備投資の堅調な推移への期待感がうかがえる。他方、人手不足の影響の深刻化や、燃料費・原材料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁遅れ、米国の保護主義的な関税措置の影響など世界経済・貿易に対する先行き不透明感を懸念する声も多く、中小企業の業況感は横ばい圏内で推移する見通しだ。
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