厚生労働省はこのほど、「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」(座長:山川隆一・東京大学大学院法学政治学研究科教授)の報告書を取りまとめ、公表した。今後、この報告書を素案・ベースとして、労働政策審議会障害者雇用分科会において指針策定に向けた議論が行われる。
差別の禁止に関しては、直接差別を禁止(車いす、補助犬その他の支援器具などの利用、介助者の付き添いなどの社会的不利を補う手段の利用などを理由とする不当な不利益取り扱いを含む)したほか、事業主や同じ職場で働く者が障害特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることの重要性を指摘するとともに、募集・採用、賃金、配置、昇進などの各項目に沿って禁止される差別を整理。障害者を有利に取り扱うこと(積極的差別是正措置)や、合理的配慮を提供し、労働能力などを適正に評価した結果として異なる取り扱いを行うことなどは、差別に当たらないことなどを明記した。
合理的配慮の提供については、「合理的配慮は障害者の個々の事情と事業主側との相互理解の中で提供されるべき性質のもの」と規定した。事業主に過重な負担とならない範囲で、多くの事業主が対応できると考えられる配慮の内容を例示。「募集内容について、音声などで提供すること(視覚障害)」「採用面接を筆談などにより行うこと(聴覚・言語障害)」「机の高さを調節することなど作業を可能にする工夫を行うこと(肢体不自由)」「本人の習熟度に応じて業務量を徐々に増やしていくこと(知的障害)」「出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること(精神障害ほか)」などが事例として示された。また、障害者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備なども盛り込まれている。
厚生労働省が先月発表した2013年度の障害者の就職者の数は7万7883人となり、4年連続で過去最高を更新。障害の種別では、「精神」の就職者数が、「身体」の人数を初めて上回った。昨年、法定雇用率が1・8%から2・0%に引き上げられたことなどが影響した。
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