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活躍する消費生活アドバイザー 消費者の声 経営に反映 資格試験受験者も大幅増

図1 企業での消費生活アドバイザー登録者数の上位20社

一般財団法人日本産業協会が実施する「消費生活アドバイザー資格」は、内閣総理大臣および経済産業大臣の事業認定資格である。消費者からの提案や意見を自社の経営に効果的に反映させるとともに、消費者の苦情相談などに対して迅速かつ適切なアドバイスを行うなど、幅広い分野で社会貢献を果たす人材を養成することを目的としている。「消費生活アドバイザー資格試験」は、各地商工会議所、日本商工会議所の協力の下、消費者安全法で定める「消費生活相談員資格試験」も兼ねて実施される。平成29年度の受験申し込み受け付けが30日から始まるのに先立ち、特集では同資格の特色を紹介する。

商品(製品)開発・改良やサービス向上に貢献

消費生活アドバイザー試験の第1次試験受験申請者数は、平成25年度の1495人から3年連続で増え、28年度は2582人と、3年間で約73%(1087人)の大幅な伸びを示し、さまざまな業種の企業から注目されている。

消費生活アドバイザーは、生損保をはじめ、電機・自動車・生活用品・食品などのメーカー、通信、電力・ガス、小売など幅広い業種において、商品(製品)開発・改良やサービス向上、消費者対応などさまざまな部門で活躍している。(図1)

では、消費生活アドバイザーは、企業の中で具体的にどのような役割を担っているのだろうか。 日本産業協会のホームページでは、「活躍する消費生活アドバイザー」と題して、消費生活アドバイザー約人にインタビューし、この資格が仕事にどのように役立っているかについて掲載している。(図2)

また、同ホームページでは、「資格活用への取組み」と題して、約20の企業や団体に所属する消費生活アドバイザーにインタビュー。各社が消費生活アドバイザー資格を活用する理由や背景を紹介している。(図3)

合格すると国家資格「消費生活相談員資格」も取得

消費生活アドバイザー資格試験(図4)に合格すると、併せて、消費者安全法に定められた国家資格「消費生活相談員資格」を取得できる。同資格は、都道府県および市町村において、「情報や交渉力等において事業者(企業)との間に構造的格差のある消費者を支える人材を養成すること」を目的としている。

具体的な職務としては、事業者(企業)に対する消費者からの苦情に係る相談・あっせんや、消費者による主体的な問題解決の促進・支援(消費生活の専門家としての一般的な消費生活に係る適切な助言など)、他の専門家などへの橋渡しがある。

平成28年度 日本産業協会会長表彰受賞者

日本産業協会では、28年度より、消費者志向経営(※)実現に向け、消費生活アドバイザーの能力を活用して、消費者の声を具体的な商品開発・改良やサービス向上につなげた企業や個人を対象に、会長表彰を実施している。第1回目は3社および同企業に所属する2グループ、1個人が表彰された。表彰を受けた企業の事例から、消費生活アドバイザーの活躍ぶりを紹介する。(※)消費者志向経営の定義(28年、一般財団法人日本産業協会の消費者志向経営研究会にて制定)「事業者(企業)が自ら主体的に、国内外において、高い倫理観の下法令順守に努め、真に消費者および社会の視点に立った事業活動で、持続可能な社会における消費者の権利や利益を実現することにより、事業者(企業)価値を高め、利益を生み出し、事業と社会の持続的な発展を果たすことをいう。」

カカオの割合を個包装に明記(株式会社明治)

株式会社明治は、経営姿勢の第1に「お客様起点」の発想と行動に徹することを掲げている。商品・サービスや表示について、消費者の生の声を伝えるとともに内容を検証している。また、消費者志向経営の意識を養成するため、工場やグループ企業の従業員が定期的にお客様相談センターを訪れ、お客様からの電話対応を含む研修に参加している。

消費生活アドバイザー資格者である同社の社員が、消費者の意見をもとに製品の改良に貢献した例としては、「チョコレート効果」の事例が挙げられる。「チョコレート効果」は、原材料に占めるカカオの含有量が高く、ポリフェノール量が多いという特徴を持つ製品だが、消費者から「カカオ何%の商品か分からない」「苦味の程度が分からない」といった声が寄せられた。

そこで、消費生活アドバイザーがこの声を開発担当部署に伝え、改良を提言した結果、カカオの含有量を箱だけではなく個包装にも明記したり、チョコレート1枚当たりのポリフェノール含有量を表示するなどの改良が実現した。(写真1)

オムツ交換のために「前」を表示(ユニ・チャーム株式会社)

ユニ・チャーム株式会社は、消費者志向経営の意義を社内に周知徹底するため、全社員を対象にお客様相談センター研修を実施している。また、製品パッケージの表示変更については、必ず関係部門による検討会を開催し、分かりやすさや、誇大表示の有無を討議している。

消費生活アドバイザー資格者である同社の社員が、消費者の意見をもとに製品の改良に貢献した例としては、「オヤスミマン」(幼児用紙おむつ)の事例が挙げられる。

検討会議でお客様の意見・要望を反映し、①オムツ交換をする際、前後が分かりにくいので「前」を表示、②夜専用製品なので、間違わないように「オヤスミマン」と商品名を記載、③パッケージの中に何種類入っているか分からないので、「5種類」入っていることを記載、の3点を提案した結果、それぞれ改善が実現した。(写真2)

ぜひ受験にチャレンジを

学習方法としては、日本産業協会が主催し、産業能率大学が実施する通信講座を受講する方法がある。(図5)

平均的な受講期間は基礎コース約7カ月、総合コース(基礎コース+小論文講座)約8カ月(27年度修了者実績)。

また、同講座は「厚生労働大臣指定通信教育」であり、雇用保険の教育訓練給付制度の対象になっているため、雇用保険の加入状況や講座の修了状況などについて一定の要件を満たしていれば、同制度により受講料の20%が給付される。同制度の詳細は、厚生労働省のホームページまたは最寄りのハローワークで確認することができる。

過去の試験問題および第1次試験の正答(解説なし)のうち、28年度分は同協会ホームページから無料でダウンロードできる。なお、22~27年度分は、同協会に現金書留または定額小為替を添えて申し込む。各年度1部1000円(送料・税込)。

消費生活アドバイザー資格試験に関するお問い合わせ先

一般財団法人日本産業協会 業務課

電話:03(3256)7731

ファクシミリ:03(3256)3010

ホームページ:http://www.nissankyo.or.jp/adviser.html

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