経済産業省は9月30日に開催した総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会で、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)について、今年6月末までに認定した発電設備が全て運転を開始した場合の賦課金が現行の4倍を超える3・12円/kWh、単年度総額で2兆7018億円に達するとする試算結果を公表した。FITによる買い取りは長期間(非住宅太陽光では20年間)継続するため、累積での負担総額は50兆円を超えることになる。
FITについては、買取価格が高く、設置が容易な太陽光を中心に導入拡大が進んでおり、政府による2030年の導入見通しを既にほぼ達成(約94%)している状態。太陽光の達成率が147%になっている一方で地熱などのより安価で安定的な種別の電源の導入は伸び悩んでいる。そのため、現在0・75円/kWh(平成26年度)となっている賦課金額の急激、大幅な上昇が懸念されていた。
小委員会に出席した清水委員(日商中小企業政策専門委員)は、「当社の場合、3円/kWhの賦課金が課された場合、年間の電気代増は約13%、約400万円となる。適切な負担水準はどのくらいか精査して示してほしい」と主張。「FITによる負担が中小企業の事業活動や家庭生活にとって過重なものとならないよう、設備認定の運用改善、告示・省令の改正など具体的措置をお願いしたい」と訴えた。
小委員会では、太陽光の急拡大によって顕在化している系統制約の問題について、専門家によるワーキング・グループ設置を決定。山地委員長は「系統制約の問題は一般の人には理解しにくい問題だが、関係者間では自明であり、警告もされていた。実際に現状、問題が生じていることは政策担当者として反省しなければいけない。これから検討を進めたい」と述べた。
最新号を紙面で読める!