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困ったときの下請かけこみ寺 -相談事例別アドバイス14- 契約は「口頭」合意でも成立するが、書面で明確に

このコーナーでは、下請取引に関する「かけこみ寺」に相談があった事例を参考に、中小企業の取引上のトラブルや疑問点の解決の基本的な考え方や留意点を解説します。今回は「一般取引関係」の「継続的取引における取引中止の申し入れ」についての相談事例をご紹介します。

契約は「口頭」合意でも成立するが、書面で明確に

Q.洋菓子製造と販売を業とするA社は、運送業者B社と3年程前から納品先の洋菓子店5軒に洋菓子を毎日配送する業務を「口頭」で約束し、B社は自己の冷凍庫を使って配達をしていました。これまでAB間に格別のトラブルはありませんでしたが、2日前にB社が突然、予告もなく運送中止を申し入れて来ました。A社としてはどうしたらよいでしょうか。

A.AB間の約束は「口頭」であり、運送契約の内容に関する「契約書」が取り交わされていませんが、3年間ほぼ毎日、洋菓子(生もの)を固定の納品先に配送されている状況からは、継続的な運送契約が口頭で成立し、このような場合、B社は期限の定めのない継続的契約に基づき運送を継続して行う債務を負っていると解されます。

本件のように運送の対象物が「生もの」であり、急な取引の中止がA社に不当な損害を与えることが運送形態などに照らすと明確である場合には、B社は取引を中止するに当たっては、やむを得ない事由がない限り、契約の趣旨に照らし信義則上一定の予告期間を設けて解約すべき義務があると考えられます。

突然、予告なしになされたB社の取引中止申し入れに対しては、A社としてはB社の解約の不当性を主張し、取引が継続されない場合にはA社の被る損害の賠償を請求してはいかがでしょうか。

<留意点>

「口頭合意でも契約は成立しますが、未然に紛争を防止したり損害が拡大しないようにするためには、契約当初から基本的な契約条件は必ず書面で明確に取り決めておくべきです。本件のように継続的な取引を予定するときは、不測の場合を想定して「損害額の予定(民法420条)の条項も規定しておくなど工夫をしておくのが相当です。自社にとって継続的な取引に当たって留意すべき点は何かなどを、「下請かけこみ寺」の弁護士相談などを利用して準備しておくのがよいでしょう。

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