日本商工会議所が1月31日に発表した商工会議所LOBO(早期景気観測)調査の1月結果では、全産業合計の業況DIは、前月から4・3ポイント改善し、マイナス3・1となった。これは平成3年7月(マイナス1・7)以来の水準となっている。
産業別では、サービス業で悪化、その他4業種で改善した。項目別で見ると、「売上」は前月からほぼ横ばいで推移した。「採算」「資金繰り」「仕入単価」は改善、「従業員」ではさらに人手不足感が強まっている。なお、「仕入単価」は「悪化」から「不変」への変化が主因であり実体はほぼ横ばいと推測される。
各地からは、「資材価格上昇分が施工単価に反映されつつあり、採算が好転」(一般工事業)、「老朽設備の入れ替えなどが増加。取引先の投資意欲が上向いている」(電気通信工事業)、「初売りが好調だったほか、50万円以上の福袋も売れ行きが良かった」(百貨店)といった声が上った。他方で、人件費や仕入価格、燃料・電気料金などのコスト負担が重く、「仕入価格が上昇しているものの、販売価格への転嫁が追い付かず、売上増に見合う収益が上がらない」(工場用品卸売業)、「利用客は増えているものの、食料品や光熱費の負担増が続き、収益改善が遅れている」(旅館業)といった声も聞かれ、景気回復を実感できない状況もみられる。
また、本調査に併せて「2014年度の所定内賃金」について調査を実施。来年度に「賃金を引き上げる」予定の企業(全産業)は39・9%、現時点では「未定」とする企業が最も多い43・2%だった。
「賃金を引き上げる」予定の企業を業種別にみると、建設業(46・9%)が最も多く、その後を卸売業(44・3%)、製造業(44・2%)が続く結果となった。賃金を引き上げる」予定の企業(全産業)における引き上げの内容は、「定期昇給」が81・9%、「ベースアップ」が19・8%、「手当の新設・増額」が7・1%となっている。
向こう3カ月(2~4月)の先行き見通しについては、全産業合計の業況DI(1月比ベース)がマイナス7・4と、4・3ポイントの悪化を見込む。消費税引き上げ前の駆け込み需要などにより、3月までは堅調な推移が予想されるが、家計への負担増に備えた消費手控えも想定される。また、業況の改善をけん引してきた建設業・製造業でも価格転嫁の遅れによる収益悪化や、消費税引き上げ前の駆け込み需要などによる4月以降の反動減への懸念の声が高まるなど、先行きに対して慎重な見方がうかがえる。詳細は、日商ホームページ(http://www.jcci.or.jp/lobo/lobo.html)を参照。
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