日本商工会議所は7月20日、「夏季政策懇談会」を都内で開催し、三村明夫会頭はじめ、副会頭、特別顧問、常議員、委員会正副委員長ら約200人が出席した。今回の懇談会のテーマは、「民間主導による地方創生(まち・ひと・しごと)実現への挑戦」。各地で取り組んでいる「地方創生」に関して、地域に「しごと」をつくり、「ひと」を呼び込み、そして「しごと」や「ひと」の基盤となる「まち」をいかに活性化するかについて、政策討議や事例発表も交え、議論を行った。
冒頭にあいさつした三村会頭は、「地域経済の発展なくして、日本経済の発展はない。地方創生により、明るい日本を実現していかなければならない」と述べ、商工会議所が地域をリードする存在となるよう呼び掛けた。
討議は、2部構成となっており、第1部はまち・ひと・しごと創生の実現に向けた課題解決について議論。中堅・中小企業の成長について参加者から、「IT化については、コストの面からどのように中小零細企業に波及させるかが課題」「円滑な事業承継を促す税制や商工会議所としての支援体制強化が必要」「若年層の人口流出を防ぐには、職業体験やマッチングイベントなどの取り組みが有効」などの意見が出された。
人手不足への対応と多様な人材の活躍推進に向けては、「長期的視点に立った『ひとづくり』が必要」「婚活イベントが大きな成果を挙げているが、単独での開催には限界があり、周辺の商工会議所と連携すべき」「女性のキャリアアップの仕組みづくりを図るべき」といった声が寄せられた。
「ひと」「しごと」を支える基盤となる地域の活性化については、「都市全体のビジョンを描き出すことが重要」「商工会議所をはじめ民間主導によるまちづくりの促進が不可欠」「インフラ整備に向けた提言・要望を行うに当たっては、周辺地域との広域連携による活動が求められている」などの意見があった。
第2部では、地方創生に向けた商工会議所活動の在り方について、3つのグループに分かれて先進事例の発表と意見交換を実施。事例発表では、帯広(北海道)の橋勝坦会頭、黒石(青森県)の村上信吾会頭、橿原(奈良県)の森本俊一会頭、御坊(和歌山県)の吉田擴会頭、高知の青木章泰会頭、日南(宮崎県)の清水満雄会頭から、広域観光、人材育成、事業承継などの取り組みについて紹介。参加者からは、「近隣の商工会議所、行政などとの連携が重要」「地元での就職が増えるよう学生に地元企業をもっと知ってもらうべき」といった意見が寄せられた。
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