日本商工会議所は5月30日、全国の商工会議所を通じて企業にヒアリングした結果を取りまとめた早期景気観測調査「商工会議所LOBO調査」の5月結果を発表した。調査期間は5月16日~22日。
5月の全産業合計の業況DIはマイナス21・8と、前月から7・7ポイント悪化し、先行きDIもマイナス20・8とほぼ横ばい。業種を問わず、仕入や電力料金、人件費などのコスト増が続く中、価格転嫁が進まないとの声もあり、地域の中小企業においては、業況改善が遅れている。
建設業や自動車関連などは堅調に推移したものの、一部では、4月にずれ込んだ受注残の消化による業況の押し上げ効果が5月に入り剥落したほか、小売業を中心に駆け込み需要の反動による影響が残る状況が伺える。
ヒアリング先企業からは厳しい声が相次ぐ。建設業から、「受注はあるが、資材価格の高止まりや人件費増で採算悪化」(一般工事)、「人手不足が慢性化」(建築工事)などの指摘があり、製造業からは、「取引先からのコストダウン要請が強まった」(半導体電子部品製造)との声もあった。
卸売業から「新規受注は例年より2~3割程度減少」(ネジ類卸売)、「運送費などのコスト増加分の転嫁が進んでいない」(家具卸売)といった声が寄せられた。小売業からは、「食料品は回復しつつあるが、衣料品や日用品などは厳しい」(総合スーパー)との指摘があった。
先行きについては、慎重な判断が続いている。一方で、賃上げなどを背景に個人消費が下支えし、夏から秋にかけて回復に向かうとの声も聞かれ、見方が分かれている。
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