マネー・ロンダリングおよびテロ資金供与を防止することは国民生活の安全と平穏を確保し、経済活動の健全な発展を維持する上で極めて重要である。また、犯罪行為や犯罪による収益が国境を越えて実行され、また移動することから、マネー・ロンダリングおよびテロ資金供与を防止することは国際的な協調が不可欠である。
わが国は、OECD加盟国を中心とした国際組織である金融活動作業部会(FATF)の活動に参加し、国際的な協調の下、その勧告に基づき、犯罪収益移転防止法の施行および同法の改正など、必要な法令や制度の整備に努めてきた。
しかし、わが国は、平成20年、金融活動作業部会による相互審査の結果、金融機関の顧客管理義務、テロリストの資産凍結などに関し、不備事項が指摘された。さらに、本年6月、金融活動作業部会は、わが国に対する声明を公表し、必要な法律を成立させることを含め、マネー・ロンダリングおよびテロ資金供与対策の不備に迅速に対応するよう促した。
当商工会議所は、わが国の取り組みが更に遅れ、不備事項が改善されない場合、金融活動作業部会からハイリスク国として公表されることにより、わが国の国際社会における信用が低下するのみならず、邦銀に対する欧米などの金融当局の監視が強まるほか、邦銀の海外取引に支障が生じ、企業の海外事業活動が多大な影響を受ける可能性を強く懸念している。
(10月7日)
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