日商 Assist Biz

更新

第123回会員総会 デフレマインド脱却を 「強い経済」実現へ 積極的な企業経営に転換

あいさつする三村会頭

日本商工会議所は3月17日、第123回通常会員総会を都内で開催し、全国380商工会議所から会頭・副会頭ら約850人が出席した。総会の冒頭にあいさつした三村明夫会頭は、企業活動をめぐる環境は整いつつあるとの認識を示すともに、「企業経営者自らがデフレマインドから脱却し、積極的な経営姿勢に転じていく番である」と強調。「先行きの不透明感を払しょくし、成長に向けて前進していくことができるかは、われわれ自身にかかっている」と述べ、「強い経済」の実現に向け、「商工会議所のネットワークを最大限活用して、目の前の諸課題を乗り越えていきたい」と決意を述べた。

三村会頭は、あいさつの中で、各地域が克服すべき課題として、「中堅・中小企業の発展に向けた後押し」「地方創生の推進」「人手不足の克服」の3点を指摘。中小企業の設備投資や賃上げの動きを加速するためには価格転嫁が重要との考えを示し、不公正取引に対する厳格な独占禁止法などの厳格な運用を求めた。

また、中小企業自身の競争力強化も重要との認識を表明し、TPPを活用した海外展開、付加価値の高い製品開発や販路開拓、知的財産の戦略的活用などに取り組むべきとの考えを示した。さらに、「創業や事業承継、消費税の軽減税率への対応やICTの活用による生産性の向上といった新たな課題を克服する必要がある」と述べ、伴走型経営支援などに全力で取り組んでいく意向を示した。

地方創生に向けては、切り札となる観光振興や農商工連携に積極的に取り組むべきと強調。「創意と工夫を凝らせば、農林水産業は地域の中核産業として力を発揮できるポテンシャルがある」と、意欲のある農家、農協や関係団体などとの連携強化・拡大を呼び掛けた。

総会では安倍晋三内閣総理大臣が来賓としてあいさつし、地方や中小企業にも、明るい動きが広がっているとの認識を示す一方、「中小企業や小規模事業者には、アベノミクスの恩恵がまだ十分に行き渡っていないという声がたくさんあることも、十分承知している」と強調。「デフレ脱却まであと一息のところ」と述べ、経済の好循環を確かなものとするためには、「投資への点火」「三巡目の賃上げ」が必要との考えを表明した。

政府としても下請取引対策の強化や新商品開発の支援などに取り組んでいく方針を示し、設備、技術、人材への投資を呼び掛けるとともに、賃上げへの協力を要請。「全国津々浦々の中小・小規模事業者が景気回復の実感を持っていただけるように、全力を尽くしていきたい」と述べ、商工会議所とのさらなる連携に意欲を示した。

また、星野剛士経済産業大臣政務官が、林幹雄経済産業大臣から寄せられたメッセージを代読した。

総会議事では、「平成28年度事業計画(案)」と「同収支予算(案)」が異議なく承認された。

支援策活用で投資促進

安倍晋三内閣総理大臣あいさつ要旨

東日本大震災から、5年が経ちました。まず冒頭、あらためて、大震災によってお亡くなりになられた全ての方々に、心から哀悼の意を表したいと思います。

まだまだ厳しい状況に置かれている皆さんが、たくさんいらっしゃいます。それでもその皆さんの、ふるさとへの強い思いが大きな力となって、そして復興はその力によって、一歩一歩確実に前進しています。東北の復興なくして、日本の再生なし。その揺るぎない信念の下に、希望に満ち溢れた東北をつくり上げていく。その決意を新たにしております。

アベノミクス「三本の矢」の政策により、「もはやデフレではない」という状況をつくり出す中で、企業収益は過去最高となりました。就業者数は100万人以上増加し、昨年の賃上げ率は17年ぶりの高水準となるなど、経済の好循環が生まれました。

全都道府県において税収が増加するとともに、有効求人倍率も上昇、中小企業の倒産件数が政権交代前と比べて約3割減少するなど、地方や中小企業にも、明るい動きが広がっています。

一方で、中小企業や小規模事業者の皆さまには、アベノミクスの恩恵がまだ十分に行き渡っていないという声がたくさんあることも、十分承知をいたしております。

わが国は、デフレ脱却まであと一息のところまで来ています。この経済の好循環を確かなものとする鍵は、「投資への点火」と「三巡目の賃上げ」です。

中小企業の収益拡大に向けては、大企業に対して政労使合意の遵守や、仕入れ価格の上昇を踏まえた価格転嫁などに取り組むよう要請するとともに、下請代金法に基づく立入検査を行ってきました。

本年度末までに2万5千社を対象に、価格転嫁の状況などについて大規模な調査を行い、きめ細かに実態を把握し、下請取引対策を強化します。拡大した収益は、新たな投資に向けていただきたいと思います。「ものづくり補助金」によって、製造業だけでなくサービス業における新商品の開発などを支援してまいります。

生産性向上に向けた設備投資は、固定資産税の大胆な減税や、金融によって支援してまいります。このため「中小企業版競争力強化法」を今国会に提出しました。金融面では、「個人保証の慣行を断ち切る」という考えの下、商工中金と日本政策金融公庫が、この2年間で10万件を超える個人保証抜きの融資を実行しています。

これらの支援策をご存じない中小企業の皆さまも多いと思います。各都道府県の「よろず支援拠点」において、支援策に関する情報を提供し、さまざまな経営課題の相談に応じています。まだ、行っていないという方はぜひ一度訪れていただきたい。しっかりと親切に誠意を持って、サービスをさせていただきたいと思っています。皆さまには、ぜひ、こうした支援策をどんどん活用していただき、設備・技術・人材に対する投資に取り組んでいただきたいと思います。

昨日は、春闘の集中回答日でした。新聞各紙の紙面には、それぞれさまざまな見出しが躍っておりますが、過去2年の賃上げの流れが続いているものと認識しています。交渉が続いている企業においては、アベノミクス三巡目の賃上げに向けた最大限の努力をお願いします。

TPP協定とその実施のための法案を、今月の8日に閣議決定し、国会に提出しました。TPP協定は、21世紀型ルールが共通に適用される世界の4割経済圏を生み出します。そこでは、最終的に、工業製品の99・9%の関税が撤廃されます。TPPは、多くの企業に新たな成長の機会をもたらします。自ら輸出しなくても、取引先企業の輸出が拡大すれば、受注が増加します。

さらに進んで中堅・中小企業が、初めて輸出に取り組む際には、企画から出荷に至る各段階でさまざまな課題に直面することでしょう。そこで、経営相談、商品開発、販路開拓など、商工会議所をはじめ、多様な関係機関の支援策を組み合わせて活用できる枠組みを、先月、立ち上げました。「新輸出大国コンソーシアム」です。

中堅・中小企業がTPPで開かれる新しいチャンスをつかんで飛躍できるよう、そして、地域に元気が出るように、政策を総動員して応援していきます。

現在、参議院で来年度予算の審議をしております。この予算の成立を皆さんも心待ちにしておられると思います。来年度予算の一日も早い成立こそが、最大の景気対策ではないかと、その思いで緊張感を持って、一日でも早い成立に向けて全力を尽くしていきたい、こう思う次第でございます。

安倍政権が発足をして4年目を迎えています。さらに全国津々浦々の中小・小規模事業者の皆さまが景気回復の実感を持っていただけるように、全力を尽くしていきたい、こう思っております。今年は私どもにとっても大切な年となります。しっかりと政策を前に進めながら、国民の理解と支持を踏まえて、さらに政策を強力に推し進め、地域の活性化、地域の成長に全力を尽くしていきたいと思います。

(3月17日)