日本商工会議所は8月31日、8月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は8月16~22日。全国423商工会議所が3741企業にヒアリングした。
8月の全産業合計の業況DIは、マイナス14・8と、前月からプラス1・9ポイントの改善し、4カ月ぶりの改善となった。ただし、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。建設業や電子部品、産業用機械、自動車関連の堅調な動きが続くほか、インバウンドを含めた夏休みの観光需要が好調に推移した。また、記録的な猛暑に伴い、飲料や夏物商材の需要が拡大する一方、客足減少や農産物の生育不良による価格上昇を指摘する声も聞かれた。燃料費や原材料費の上昇による負担増や深刻な人手不足、根強い消費者の節約志向が依然として中小企業の足かせとなっており、業況改善に向けた動きは力強さを欠く。
ヒアリングした企業からは、「技術者を中心とする人手不足と従業員の高齢化が深刻なため、賃金や労働環境の改善を進め、若年層の募集に力を入れているが、全く応募が無く、厳しい状況が続いている」(土木工事)、「猛暑の影響で客足が鈍いことに加え、キャベツをはじめとする農産物や、水産物などの価格高騰で、売り上げ・採算ともに悪化した」(飲食)など、厳しい経営環境にあるという声が寄せられた。一方、「インバウンドの増加を背景に、卸先の建設業で宿泊施設の建設・改装工事が多く、受注は好調」(建設資材卸売)、「夏の観光シーズンに入り、インバウンドの来店数は増加。さらなる売り上げ増を目的に、キャッシュレス決済端末や自動外貨両替機を導入した」(百貨店)といった前向きな意見も聞かれた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス14・4(8月比プラス0・4ポイント)とほぼ横ばいを見込む。消費の持ち直しやインバウンドを含む観光需要拡大、生産や設備投資の堅調な推移への期待感がうかがえる。他方、人手不足の影響の深刻化や、燃料費・原材料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁遅れ、米国の保護主義的な関税措置に端を発する貿易摩擦の影響など、世界経済の不透明感を懸念する声も多く、中小企業の業況感はほぼ横ばいで推移する見通しだ。