日本商工会議所の三村明夫会頭は9月29日に首相官邸で開かれた「経済の好循環に向けた政労使会議」に出席し、「アベノミクスは高く評価している。一方、地方や中小企業は、まだその成果を十分に享受できていない」と述べ、賃上げについては、「そのための環境づくりが重要」との考えを表明した。安倍首相は、雇用をめぐる構造問題で共通認識を得たい考えを示している。同会議は年末までに数回開かれる見込み。
会議には、政府側から、安倍晋三首相、麻生太郎副総理・財務相、菅義偉内閣官房長官、甘利明経済再生相、塩崎恭久厚労相、小渕優子経産相の6人が出席。経済界からは日商の三村会頭と経団連の榊原定征会長ら3人、労働側から連合の古賀伸明会長ら2人が出席した。
会議の冒頭、あいさつした安倍首相は、「今回の会議は、賃金のみならず、雇用をめぐる構造問題についても、政・労・使三者に大所高所から議論いただき、共通認識を醸成したい」と発言。年功序列賃金体系の見直し、ワーク・ライフ・バランスの見直し、職業訓練、労働移動の円滑化などの働き方の見直し、などの論点を示し、「建設的かつ前向きな姿勢で議論に臨んでほしい」と要請した。
昨年12月以来の開催となった同会議について、甘利大臣は、「昨年12月に経済の好循環実現に向けた政労使の取り組みをまとめていただき、それが好循環を拡大させる最初の一押しの役割を担ったと考えている」と述べ、「昨年以降の取り組み状況のフォローアップと労働生産性の向上を通じた経済の好循環の維持・拡大に向けた諸課題について議論するため、再開することとした」と趣旨を説明。今後、月1回のペースで同会議を開き、12月を目途に共通認識を取りまとめる日程案を示した。
三村会頭は「アベノミクスは需給ギャップの解消など、日本経済全体に大きなインパクトを与えており、高く評価しているが、地方や中小企業は、まだその成果を十分に享受できていない」と強調。「中小企業にとっては、いかにして持続的に収益拡大を図るか、労働生産性を向上させるかが、賃金増にとっての大きな課題であり、まずその解決のための環境づくりが重要」と中小企業の厳しい現状を訴えた。
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