このコーナーでは、「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」の概要や親事業者・下請事業者の定義、取引の内容、親事業者の義務・禁止事項などを、Q&A方式で解説しています。今回は「有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止」についてご紹介します。
Q.下請事業者に有償で材料を支給し、製造を委託しています。下請事業者は、その支給材を1次加工で使用し、社内の次工程で2次、3次の加工をしてから当社に完成品として納入しています。1次加工で支給材を使用しているので、下請事業者の支給材の対価は、支給した翌月の支給材の対価と相殺しても問題はないでしょうか?
A.NO!「有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止」に該当し、違反となります 質問の件は、有償で下請事業者に支給した材料を用いて1次加工をしているので、既に材料が使用されており、翌月に支給材の対価と相殺しても良いのではないかとのことです。しかし、1次加工後、更に2次、3次加工を行って完成するので加工期間が長く、当該支給材を使用した製品は材料を支給した当月には納入されておらず、下請代金の支払いは翌々月以降になると考えられます。
そうすると、当該製品の対価の支払いより以前に、支給材の対価を相殺してしまうことになり、「有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止」に該当し、違反となります。使用されているから相殺して良いという問題ではないのです。当該材料を使用して製造した製品の代金から、使用した材料代のみを引くのであれば良いということです。
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