今回は、リサイクル事業について説明します。まずは、容リ協会がリサイクル業務を委託する事業者であるリサイクラーの登録・入札・落札スケジュール(下図参照)をご紹介します。
次年度のリサイクル業務受託を希望するリサイクラーは、7月に容リ協会に登録申請を行います。8~10月にわたる厳しい書類審査・現地審査を実施し、11月に次年度の委託事業者として適格かどうかの合否を決定します。
登録申請に必要な提出書類は、財務諸表、企業・土地・建物の登記簿謄本、一般廃棄物処理設置許可証、建築確認済証、工程・設備図面、騒音・振動・排水の適正担保資料、従業員の労働安全衛生の担保資料、処理残さの適正処理関連資料、再商品化製品の販売先に関する資料など多岐にわたります。
以上のように厳しい登録審査に合格した事業者だけが、12月下旬~翌年1月下旬にかけて行う全国一斉の電子入札に参加できるのです。
落札した事業者の業務期間は、4月~翌年3月末までの1年間。再商品化事業者は、毎月、市町村からの引き取り量、利用事業者への製品販売量、操業管理状況などを容リ協会に報告する義務があり、適正にリサイクル事業を行っているかを容リ協会が管理します。万が一、不適正行為があれば、契約解除などの措置をとる場合もあります。
次に、素材ごとのリサイクルについて見ていきます。まずはプラスチックです。家庭から出された食品容器などのプラスチック製容器包装ごみは、市町村で選別された後、当協会が契約したリサイクラーに引き渡されます。そこで、人や機械の力で異物を取り除き、リサイクル原料となってさまざまな形で再利用されます。
リサイクルの方法は大きく分けて2つあります。ひとつは、プラスチック製品に戻す「マテリアルリサイクル」です。運搬用のパレット、土木建材、園芸農業用資材などに利用されています。なお、入札に当たっては、「市町村で集められるプラスチックの50%は優先して材料リサイクルを行う仕組み」や、「材料リサイクルの事業者の総合的評価制度」が導入されています。
もうひとつは、プラスチックを化学的に再利用する「ケミカルリサイクル」です。コークス炉の中にプラスチックを入れてコークス・ガス・化学原料を取り出す「コークス炉化学原料化」、製鉄所の高炉で鉄鉱石から酸素を奪う還元剤としてプラスチックを使う「高炉還元剤化」、プラスチックをガス化炉に入れてアンモニア、水素、メタノール、酢酸などの化学工業原料にする「ガス化」の3つの方法でリサイクルされています。
現在行われている容リ制度見直しの合同会合では、「材料リサイクル優先をどうすべきか」、「固形燃料化の入札参加を認めるべきか」などが議論されています。
清水健太郎・日本容器包装リサイクル協会企画広報部課長補佐
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