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コラム石垣 2017年8月1日号 中山文麿

先月初めに九州北部を襲った記録的な豪雨には声を失った。おびただしい倒木を巻き込んだ激流がJR九大線の鉄橋や川沿いの家屋を押し流した。また、土砂崩れによって山道が寸断されたり、携帯電話の基地局も破壊され交通と情報が寸断されたりした。気象庁の1時間当たりの最大降雨量の定義では80ミリメートルを超すと、息苦しく恐怖を感じるとされている、今回の土砂降りはそれをはるかにしのぎ各地の降雨記録を塗り替えた。

▼この時の気圧配置は日本列島に高気圧が居座り、その縁に沿って時計回りに南西の東シナ海から水分を多量に含んだ大気が九州北部の脊振山地に流れ込んだ。その斜面に沿って上昇気流となり、連続して積乱雲が発生する「線状降水帯」が形成された。テレビに映し出された気象衛星の画像でも、同じ場所からポコポコと積乱雲が噴き出していた。

▼気象庁は全国2万の河川の氾濫の危険状態を4色に分けしてその危険度を知らせている。九州北部では一級河川の筑後川にそそぐ支流はいずれも「極めて危険」を表す紫色で表示され氾濫すると警告されていた。

▼このような激しい豪雨はやはり地球温暖化のせいであろうか。年々、雨の降り方や風の強さが増している。自然災害の起こり方や規模は残念ながら従来の経験や常識を超えたものだ。現在の防災対策もそのことを念頭に見直し、未曽有の被害に際しては想定外というべきでない。

▼これから9月にかけて台風シーズンの到来である。国土交通省も時系列的に防災計画を立てる「タイムライン」の策定を地方自治体に呼び掛けている。家族や個人も命を守るのは自分たちだと認識して家族タイムラインやマイタイムラインを作って災害に対処すべきだ。

(中山文麿・政治経済社会研究所代表)

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