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コラム石垣 2017年7月21日号 中村恒夫

働き方改革の中で長時間労働の抑制が産業界に求められている。リフレッシュする機会を確保した方が従業員のミスが減り成果も上がることは、多くの経営者が理解しているはずだ。ただ、長時間労働を減らす過程で、管理職にしわ寄せが及ぶのではないか、と懸念する声が出ている。例えば、勤務時間の抑制目標だけ設定されて、具体的手法はそれぞれの職場の責任者に丸投げされるしまうケースだ。

▼人材育成を専門とするグロービス社の林恭子マネジング・ディレクターによると、米国の有力企業では上長と部下が一対一で短い時間でも頻繁に話し合い、会社や顧客の現況、個々の社員本人が果たすべき業務などについて意見交換している。報酬面だけでなく、その会社の「コミュニティーの中でどれぐらい成長できているかを見てもらっている」と本人が受け止めることで優秀な人材を確保する手段になるというのだ。承認欲求が強い若い世代のモチベーションを高めるためにも有効な方法であろう。一方で、日本でこうした評価制度が一般化していった場合、管理職の負担がさらに重くなるのも間違いない。「管理職自身も成長していかなければいけないし、会社もそれを支援すべきだ」と林氏は指摘する。

▼売り手市場の中で、新規採用活動に資金を投入する企業が増えているが、企業の屋台骨を支えている管理職にこそ「投資」が必要なのではないか。具体的にはリフレッシュ休暇の取得や外部セミナー受講などを支援することが考えられる。難しい仕事を丸投げするよりも、きちんとした基準を作り一定レベルの業務の決定権を管理職に委譲すれば、社内の根回しに代表される非生産的な勤務時間を削減できるだろう。

(時事通信社取締役・中村恒夫)

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