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コラム石垣 2017年7月11日号 丁野朗

各地で現代の「私塾」とでも呼べる人材塾が盛んになっている。疲弊した地域には、安易な補助金というカンフル剤に頼るだけではなく、地域を担い産業を創造する有能な人材を育成することが何よりも重要であることを多くの地域が気付き始めた結果でもあろう。武田信玄公は「人は城、人は石垣……」の理念で国づくりを進めた。強固な城以上に人は国を守ってくれると考えていたのである。

▼江戸時代の日本は世界に冠たる教育国であった。塾の中には、江戸幕府直轄の「昌平黌(しょうへいこう)(昌平坂学問所)」や「藩校」「郷校」などもあったが、「私塾」や「寺小屋」など、庶民を対象にした学問所が数多くあった。私塾は、塾主の個性による自発性を旨として発達した教育機関であり、各地で多くの有能な人材を排出した。

▼日本遺産にもなった大分県の咸宜園(かんぎえん)は、天領日田に広瀬淡窓が文化2(1805)年に創設した全寮制私塾である。「咸宜」とは、詩経に由来し、「ことごとくよろし」の意味で、塾生の意志や個性を尊重するという理念が込められている。塾生には高野長英や大村益次郎など優れた人材を輩出した。

▼6月に公布された「地域未来投資促進法」は、地域特性を生かして高い付加価値を創出し、波及効果の高い地域経済をけん引する事業を創出することを狙いとしている。地域には優れた中堅企業も少なくないが、これは地域がもつ高い教育の蓄積と人を育てるという風土が生み出したものであろう。ならば、新たに地域をけん引する事業を創出するためには、遠回りでも、これらを支える地域中核人材の育成こそが重要である。これこそが、まさに「地域未来投資」ともいえる。

(東洋大学大学院国際観光学部客員教授・丁野朗)

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