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平成30年度政府予算案 中小企業対策費に1771億円 「生産性革命」実現へ 事業承継、人材不足に対応

中小企業対策費

政府はこのほど、平成30年度予算案および29年度補正予算案を閣議決定した。30年度予算案一般会計の歳出総額は、過去最大となる97兆7128億円。このうち、政府全体の中小企業対策費は、1771億円となった。中小企業の生産性向上に向けた支援のほか、事業承継、人材不足への対応、海外展開、地域へのインバウンド拡大などに重点が置かれた。特集では、中小企業・小規模事業者関係予算案の概要について紹介する。

1.「生産性革命」と「人づくり革命」の推進

⑴中小企業・小規模事業者などの抜本的な生産性向上

○ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業1千億円(29補正)

中小企業・小規模事業者が、認定支援機関と連携して、経営力向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資などの支援を行う。なお、設備投資などと併せて専門家に依頼する費用も支援する。

○サービス等生産性向上IT導入支援事業費500億円(29補正)

中小企業などの生産性向上を実現するため、バックオフィス業務などの効率化や新たな顧客獲得などの付加価値向上(売り上げ向上)に資するITの導入支援を行う。

○地域中核企業・中小企業等連携支援事業162億円(30当初)

技術力のある中小企業・地域中核企業が行う研究開発の補助、地域未来投資促進法の承認事業に対する設備導入補助など

○中小企業・小規模事業者決済情報管理支援事業4億円(29補正)

受注から入金までの決済業務などについてITを用いて効率化するシステム(EDI)の実証を行い、全国の中小企業者に普及するための体制を整備する。

○地域における中小企業の生産性向上のための共同基盤事業10億円(29補正)

中小企業の共同利用が見込まれる先端設備(IoTなど)の公設試験研究機関などへの導入を支援する。

⑵事業承継・再編・統合による新陳代謝の促進

○中小企業再生支援・事業引継ぎ支援事業69億円(うち事業引継ぎ関連21億円)(30当初)

後継者問題を抱える中小企業・小規模事業者の事業引き継ぎや事業承継の促進・円滑化を図るために、課題の解決に向けた適切な助言、情報提供およびマッチングについてのワンストップ支援など、創業希望者と後継者不在事業主などとのマッチングを行う。また、財務上の問題を抱えている事業者への再生計画策定支援を行う。

○事業承継・世代交代集中支援事業50億円(29補正)

休廃業リスクの高い事業者に対するプッシュ型支援により経営者に事業承継の取り組みを働き掛けるとともに、事業承継やM&Aを通じた事業引き継ぎをきっかけとして、経営革新や事業転換に取り組む中小企業の設備投資などを支援する。

⑶人材不足への対応

○中小企業・小規模事業者人材対策事業19億円(30当初)

中小企業・小規模事業者が必要とする人材について、地域内外からの発掘・確保・定着を一括支援する。「人手不足対応ガイドライン」の普及や、中核人材などの確保に向け多様な雇用形態の導入促進などに取り組む。

○学びと社会の連携促進事業25億円(29補正)

EdTechを活用した先進教育事例の実証。女性のリカレント教育プログラムの開発。起業家教育プログラムの普及。就職氷河期世代を含む社会人に対し、中小企業大学校のノウハウを活用して社会人基礎力やITなど専門分野に係る研修などを実施する。

○中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業50億円(30当初)

「よろず支援拠点」を活用し、中小企業が抱える経営課題に対応するワンストップ相談対応を行う。併せて、高度な課題に対応する専門家の派遣や、経営者保証ガイドラインなどの周知・普及を行う。

⑷小規模事業者対策、海外展開・地域へのインバウンド拡大、金融支援

○小規模事業対策推進事業49億円(30当初)

○小規模事業者経営改善資金融資事業43億円(30当初)

○ふるさと名物応援事業10億円(30当初)

○地域・まちなか商業活性化支援事業、インバウンド型クールジャパン推進事業16億円(30当初)

○小規模事業者支援パッケージ事業120億円(30補正)

○中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業20億円(30当初)

○グローバル企業展開・イノベーション促進事業40億円の内数(29補正)

○認定支援機関による経営改善支援30億円(29補正)

2.安定した事業環境の整備、活力ある担い手の拡大

○中小企業取引対策事業14億円(30当初)

下請け事業者による連携を促進するなど中小企業・小規模事業者の振興を図るとともに、下請け取引に関する相談の受け付けや、下請代金支払遅延等防止法の周知徹底・厳正な運用、官公需情報の提供など、取引の適正化を図る。

○消費税転嫁状況監視・検査体制強化等事業27億円(30当初)

中小企業・小規模事業者などが消費税を円滑に転嫁できるよう、積極的に消費税転嫁対策特別措置法の違反行為などの情報収集および調査などを行う。

○政策金融・信用保証による金融支援227億円(30当初)、102億円(29補正)

○中小企業連携組織対策推進事業7億円(30当初)

中小企業・小規模事業者の連携・組織化の推進、中小企業組合の運営の適正化を図るため、中小企業・小規模事業者の集合体である組合などを支援する。

○地域創業活性化支援事業6億円(30当初)

地域での創業とそれによる地域経済の活性化を一層推進していくため、潜在的創業者の掘り起こしから創業前の支援、創業後の成長の後押しまでを実施する。全国的な創業機運を醸成するために、連携するビジネスプランコンテストからの推薦者や創業スクール修了生など、創業を目指す者を支援する。

○中小企業基盤整備機構運営費交付金180億円(30当初)

中小企業政策全般にわたる総合的な支援・実施機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構に対し、中小企業・小規模事業者の「創業・新事業展開の促進」「経営基盤の強化」「経営環境の変化への円滑な対応」を支援するための必要経費を交付する。

3.災害からの復旧・復興、中小企業の災害対応力の強化

○中小企業組合等共同施設等災害復旧事業(中小企業等グループ補助金)

・東日本大震災150億円(30当初)

東日本大震災により甚大な被害を受け、特に復興が遅れている地域(岩手県、宮城県、福島県の津波浸水地域および福島県の避難指示区域など)を対象に、中小企業等グループの復興事業計画に基づきグループに参加する事業者が行う施設復旧などの費用の4分の3(うち国が2分の1、県が4分の1)を補助する。

・熊本地震47億円(29補正)

熊本地震により広範囲かつ甚大な被害を受けた地域(熊本県)を対象に、中小企業等グループの復興事業計画に基づきグループに参加する事業者が行う施設復旧などの費用の4分の3(うち国が2分の1、県が4分の1)を補助する。

○東日本大震災の被災地向け資金繰り支援等72億円(30当初)

○中小企業BCP策定支援事業7億円(29補正)

中小企業に対する災害への備えとして事業継続計画(BCP)策定などの支援を行うための専門家派遣を実施する。