政府は5月17日、「『ニッポン一億総活躍プラン』フォローアップ会合」を首相官邸で開催した。会合では、政府が昨年6月に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」の進展状況について意見交換を行った。「ニッポン一億総活躍プラン」は、安倍晋三首相が「新3本の矢」として掲げた「名目GDP600兆円」「希望出生率1・8」「介護離職ゼロ」に対する具体的施策を提示。会合に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、「一億総活躍プランの政策は、いずれも効果が出るまでに時間を要す難易度の高いものだが、労働人口を増加させ生産性を向上させる成長戦略の一丁目一番地。国民にその必要性や意味をしっかり訴え続け、将来に希望を持たせてほしい」と粘り強い政策の継続を訴えた。
フォローアップ会合開催
一億総活躍プランでは、「名目GDP600兆円」が2021年度、「希望出生率1・8」「介護離職ゼロ」については2025年度までの期限を区切って43のテーマに関する施策をいつ実行するのかを具体的に提示。「名目GDP600兆円」の実現に向けては、人口知能などの活用促進による「第4次産業革命」、IT化などによる中小企業の生産性向上、インバウンド増による観光先進国の実現などを目指すとしている。「希望出生率1・8」「介護離職ゼロ」については、保育・介護人材の処遇改善、また、「働き方改革」として同一労働同一賃金の実現に向けた法改正の検討などが示されている。
これまでに、政府の「日本再興戦略2016」に第4次産業革命の実現などを含む「官民戦略プロジェクト10」が盛り込まれたほか、同一労働同一賃金ガイドライン案が公表され、「働き方改革実行計画」では、ガイドライン案の実効性を担保するため関連法の改正を図るとされた。
三村会頭は、「子育て支援や介護の環境整備の継続の課題は財源の確保」と強調。「成長の果実を活用するとともに、高齢者に偏った社会保障給付の見直し、応能負担の導入、社会保障の重点化・効率化や税制改革の議論も同時に進め、財源の確保を目指してほしい」と述べた。また、働き方改革実行計画を法案にするための議論が労働政策審議会で進んでいることに対し、「実態に即した法案とするため、中小企業を中心に現場の声をできるだけ多くヒアリングすべき」と要請した。
安倍晋三首相は働き方改革について、「一億総活躍の最大のチャレンジとしてスピード感を持って実行する」と強調。今回の議論を踏まえ、各施策の実現に向けて迅速な対応を行うよう関係閣僚に指示した。
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