山形商工会議所は、歩行者通行量調査を昨年11月に実施し、結果を取りまとめた。同調査は、山形市中心市街地周辺の歩行者の通行量や特徴を調査することにより、商業形態が変化している中での人の流れを把握・分析し、商店街振興策の基礎データとするため、隔年で実施。同市中心市街地エリアの33地点で、方向別、時間別、男女別に計測し、歩行者数や導線を把握している。今回の調査では、歩行者通行量の減少とともに回遊性の低下が浮き彫りになった。
今回の調査は昨年11月6日に実施した。調査当日の天候は晴れ。市内の33地点で、午前9時から午後7時まで調査を行った。歩行者の人数のみをカウントし、自動車や自転車は通行量に含まない。
今回の通行量の総数は、平成26年の調査に比べて約14%、24年の調査に比べて約6%減少した。33地点のうち通行量が最も多かったのは、山形駅の自由通路であった。過去の調査においても、同地点の通行量が他の地点に比べて圧倒的に多い。次いで、商店街地域や駅前通りの通行量が多かった。
同市では26年に、にぎわい拠点の創出、観光交流人口の増加などを目的とした中心市街地活性化基本計画を策定するなど、地域振興に向けた取り組みを行っている。さらに、昨年には、食堂や本屋、イベントスペースなどの複合施設「とんがりビル」が中心市街地にオープンするなど、通行量の増加が期待されたが、過去の調査と比べて通行量の総数は減少した。
一方で、同日に中心市街地にある複数の駐車場の利用台数を別途調査したところ、前回の調査と比べてほぼ横ばいであった。そのため、同所は、自動車での訪問者数は変わらないが、徒歩による回遊性の低下が進んでいると結論付けた。 同市を取り巻く商業環境は、ITの普及による購買行動の変化、同市北部および南部周辺地域への大型量販店集積による地元小売企業との競争の激化、さらに仙台市をはじめとする周辺各市との地域間競争などにより大きく変化している。このような商業環境の中、同所では、商店街振興策の基礎データとするため同調査を隔年で実施している。
最新号を紙面で読める!