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「下町育ちの再建王」の経営指南 『VUCA』時代の思考スタンス

コロナ禍以前から世界的に時流変化のスピードが上がっていて、数年前から『VUCA(ブーカ)』の時代と呼ばれるようになっていました。『VUCA』とは、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字を並べた言葉で、新型コロナで世界中が大騒ぎになる前には、一部の経済学者やコンサルタントが使う言葉でした。しかし今まさに『VUCA』の時代であることは、誰もが肌で感じる毎日です。

野球場や、劇場、コンサートホール、映画館、飲食店などを満席にしてはいけない、といった予想もしなかった想定外の出来事が次々と起きてきます。

リモート業務についても、今はまだ見えない問題が巣食っています。行動形態がバラバラな今の若者は、受け取る情報が異なるためそれぞれの常識が違います。会社は、社員をまとめることができなくなるのです。また人間はルーティンをこなすだけでは成長しません。出社すれば、社内に成長因子がたくさんあるし、他者とのライバル心やモチベーションとなる出来事があります。しかしリモートでルーティンの仕事をこなし、空き時間はゲームなどに時間を費やす暮らしでは、新しい知識が入らないので、社員の士気や能力は下がり、企業全体の質が低下してしまう。こんな問題も徐々に表面化してくるでしょう。

一カ月前から予約しないと入れないレストランに、当日予約で行けるようになっただけでなく、デリバリーで料理を運んでもらえて、しかも地域によっては、タクシーの運転手さんが丁寧に持って来る。こんなぜいたくは、コロナ禍以前は考えられませんでした。

これからも業界の常識を覆すサービスが次々登場してきます。新聞を読まずテレビも見ず、You Tubeなどのチャンネルしか見ていない消費者層の心に響く販促とは、どういうものでしょうか。

また、オフィスの規模を縮小できるようになってきた結果、企業は経営資源の不動産が負担になり、逆に負債となる場合さえ出てきます。

今まで当たり前だった方法や常識が通用しなくなる。それが『VUCA』の時代です。その時代を生き抜くために必要なスキルは何かというと、妄想でもいいから、仮説を立てられるかどうかです。仮説とは、経験の積み重ねとは違う新しい発想による戦略のことで、そういう発想を潰さない企業風土も不可欠です。

過去の事例に基づき論理的に導いた結論が、ことごとく通じない時代にワープするように、突然入ってしまったのです。

現場を見て、世の中を学び、新しいコトを生み出す力が必要です。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

お問い合せ先

社名:株式会社 風土

TEL:03-5423-2323

担当:髙橋

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