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「下町育ちの再建王」の経営指南 ホウレンソウ・ダネの再確認

「ライオンに追いかけられたウサギが肉離れをするでしょうか?」

サッカー選手が試合で肉離れをするのは、試合の準備ができていないということにほかならないと指摘した、サッカー指導者のイビチャ・オシム氏の言葉です。

哲学者のような思考力を持つ彼の表現は、ビジネスにも通じる点が多々あります。この言葉を聞いたとき、私は物事の前準備の重要性に共感しました。

『報・連・相(ホウレンソウ)』と聞くと、今さら…と、思われるかもしれませんが、例えとして聞いてください。皆さんは報告、連絡、相談の違いをはっきり説明できるでしょうか。

報告とは仕事が終わった段階にすること、連絡は途中経過、相談は始める前に期間やコストについて承諾を得ること。時系列的には逆で、相談・連絡・報告の順です。

私の場合は、この『ホウレンソウ』に『ダネ』を加え、『ホウレンソウ・ダネ』で、部下を教育してきました。ダは打ち合わせ、ネは根回しです。

上司から仕事を任されるようなことになりそうなとき、「この人数でやるのか、期間はこれでいくのか、調査は名古屋と福岡でいいのか」など、大まかに決めておくのが打ち合わせです。その前に、「こんなことになりそうなんだけど、一緒にやってもらえる?」といった根回しも不可欠でしょう。

これらの準備を整えておいてこそ、上司に仕事を任せられたときに、「はい、では私はこういう風にやろうと思います…」と言えるわけで、これが相談なのです。御社は社員にこういった教育をしていますか。教育という前準備をしないまま、社員の持ち前の能力だけで仕事をさせるのは危険です。

それぞれ異なる境遇で育った人を会社で育てることなく、自社の名刺を持たせて看板を背負わせる。これでは、運を天に任せるようなもの。

教育を受けていない社員は、当然、肉離れを起こすでしょう。これは本人のせいではなく、上司と会社の責任です。

社員から事後連絡があったとき、「何言ってんだ、ホウレンソウぐらいしろ!」と叱るのは、教育ではありません。何も起きていないときに、ホウレンソウ・ダネを教え、部下にしっかりと理解させること。それによって、肉離れは防げるわけです。

リモートで人が動く今だからこそ、社員教育は重要になります。ホウレンソウ・ダネを徹底すれば、それだけで業績に影響するのです。

ポストコロナを迎えるまでにまだ1年半以上かかるでしょう。その間に世の中は激変します。この間の前準備が、その先の自社の立ち位置を決めることになるのです。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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社名:株式会社 風土

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担当:髙橋

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