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コラム石垣 2020年11月21日号 丁野朗

2015年に創設された「日本遺産」は、今年6月、新たに21件が認定、合計104件となり、当初予定の認定数に達した。今後は新たな認定は行わないが、そのさらなる磨き上げに力を入れることになる。

▼日本遺産を一言でいえば「日本を象徴する百の物語」ということになろう。これを国内外に広くアピールする、いわばジャパンブランド創生のための事業でもある。地域には実に多様な文化資源がある。それも旧石器時代から現代に至る長い年月、建造物や工芸品などの有形のものから、伝統芸能や技術などの無形のものなど実に多岐にわたる。その多様な文化資源を取捨選択し、組み立て、それぞれの地域の個性を象徴するストーリーとして編集するのが日本遺産である。

▼長年、その審査に携わってきたが、地域の皆さんは誠に苦労された。一つの物語を編集するという行為は、ストーリー上に乗る主要な文化資源を選ぶ一方、捨てることでもある。本来、数多くの物語が描ける地域の中で、物語素材を選ぶ苦労は並大抵ではない。一見、何の変哲もない「米」をテーマに、その生産力の増強を支えた技術や財の蓄積が、多くの古墳群や兵・食料の兵站基地として栄えた「2000年の米作り」の物語(菊池川流域の菊池市、山鹿市、玉名市、和水町)、古くから矢じりやナイフの素材となった黒曜石を求めて縄文人が1千メートルの高地に開いた鉱山(星糞峠など長野県・山梨県の黒曜石原産地遺跡)など、実にわくわくする物語が数多くある。

▼日本遺産とは、誠に「地域を読み解く」作業である。こうしたテーマを求める旅が好まれるのは国内外を問わず近年の傾向である。日本遺産のさらなる活用を期待したい。

(東洋大学大学院国際観光学部客員教授・丁野朗)

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