コラム石垣 2020年12月1日号 中村恒夫

アニメ映画「鬼滅の刃・無限列車編」が空前ともいえるブームを巻き起こしている。目を見張るのは観客動員数だけでなく、関連グッズの多さだ。二番煎じ以降になると、効果もそがれるかもしれないが、いち早く商品化した企業の中では業績全体を大きく押し上げたケースもある。「便乗商法ではないか」と侮ってはいけない。商品化した背景には、消費者の嗜好(しこう)を読み取るセンスがあったと考えるべきだろう。

▼「コロナ禍だから仕方がない」と売り上げ不振の理由を押し付けるのは簡単だ。しかし、「withコロナ」が長期化する中で、手をこまねいていても事態が好転することはない。たとえ便乗商法であっても、消費者の動きを先取りする、あるいは自ら需要を喚起するような工夫が必要だと思う。

▼薄利多売方式で業績を維持していた飲食店が高級化に切り替え、成功を収めた話も聞く。ニューノーマルの流れを利用して、一気に構造改革や業態の転換を図る好機と捉えたい。しがらみがあったために切り捨てられなかった不採算事業でも、今なら決断しやすいはずだ。

▼先日、銀座を代表する有名カフェに足を運んだ。平日にもかかわらず満席だった。客が帰ると消毒し、真新しいテーブルクロスに換えている。専用のマスク入れを提供するのは言うまでもない。系列のフランス料理店は予約が取れない状況が続いている。立地を含めたブランド力と、感染防止に万全を尽くす姿が、厳しい飲食業界の中で差別化を実現したといえよう。

▼自社の特長はどんな点か、コロナ禍が続く中でどう生かせるのか。経営者は、単なる企業の生き残り策だけでなく、自社の未来図を幹部らと真剣に論じ合ってほしい。 (時事総合研究所客員研究員・中村恒夫)

この記事をシェアする Twitter でツイート Facebook でシェア

次の記事

コラム石垣 2020年12月11日号 中山文麿

政治経済社会研究所代表 中山文麿

今回の米国大統領選挙は、トランプ氏を絶対に再選させたくない民主党と熱狂的な支持者からなるトランプ党との戦いだった。トランプ支持者は戸別訪...

前の記事

コラム石垣 2020年11月21日号 丁野朗

東洋大学大学院国際観光学部客員教授 丁野朗

2015年に創設された「日本遺産」は、今年6月、新たに21件が認定、合計104件となり、当初予定の認定数に達した。今後は新たな認定は行わないが、そ...

関連記事

コラム石垣 2022年5月1日号 宇津井輝史

コラムニスト 宇津井輝史

明治維新を成し遂げた日本は中国の近代化を支援した。政府はむろん、日活の創業者ら民間人も孫文を援助して辛亥革命を助け、アジア初の共和国・中...

コラム石垣 2022年4月21日号 神田玲子

NIRA総合研究開発機構理事 神田玲子

先日、日本の政策についてアンケート調査を実施した。そのうち「あなたが専門家に聞きたいことは何か」の問いでは、「有識者は信頼できないので質...

コラム石垣 2022年4月11日号 中山文麿

政治経済社会研究所代表 中山文麿

ウクライナ東部要衝のマリウポリや北東部のハリコフでのロシア軍の攻撃は凄惨を極めた。ウクライナ国民の戦意をくじくためにロシア軍は意図的に病...

月刊「石垣」

20225月号

特集1
〝二刀流〟で逆境に打ち勝つ! 主業務×自社ブランドで販路拡大

特集2
コロナ禍を乗り越えて長続きする会社へ 人材が活性化する職場の仕組みをつくる

最新号を紙面で読める!

詳細を見る

会議所ニュース

月3回発行される新聞で、日商や全国各地の商工会議所の政策提言や事業活動が満載です。

最新号を紙面で読める!

詳細を見る

無料会員登録

簡単な登録で無料会員限定記事をすぐに読めるようになります。

無料会員登録をする