コラム石垣 2020年12月11日号 中山文麿

今回の米国大統領選挙は、トランプ氏を絶対に再選させたくない民主党と熱狂的な支持者からなるトランプ党との戦いだった。トランプ支持者は戸別訪問などどぶ板選挙も行い、前回の大統領選挙でトランプ氏が獲得した票に1000万票も上積みした。もし、新型コロナウイルスの流行が無かったら、トランプ氏は楽勝していたかもしれない。

▼トランプ氏は、政治手法として自分を支持してくれた人たちに約束した公約を全て実現しようと動いた。それまでのワシントンのエリート政治家が重視してきたポリティカル・コレクトネスにはまったく無頓着だった。

▼米国の政治状況を俯瞰すると、共和党はトランプ氏に乗っ取られ、レーガン流の共和党保守本流の精神や理念は失われていた。民主党はサンダーズ氏率いる左派の主張が色濃く反映され、社会主義化していた。米国は中間的な支持層を欠き、両極端に走っている。

▼トランプ氏は今回の大統領選挙に不正があったとして自分の敗北を認めず、激戦州で訴訟を続けている。彼の行動は「アメリカ・ファースト」でなく、自分ファーストそのものである。もし、12月8日までに選挙人が決まらなければ、新しい連邦議会で大統領を選ぶことになる。そこでは共和党議員が多数を占める州が過半数となり、トランプ氏が選出される可能性がある。

▼当選確実となったバイデン氏はトランプ氏に投票したトランプ党の人たちの主張にも積極的に耳を傾ける必要がある。そうしないと、次の中間選挙や4年後の大統領選挙で敗退する恐れがある。一方、トランプ氏はトランプメディアを立ち上げ、共和党内での自分の影響力を残し、次期大統領選挙で再度戦いを挑むようだ。

<12月1日執筆> (中山文麿・政治経済社会研究所代表)

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