日本商工会議所は11月19日、「2020年度規制・制度改革に関する意見」を取りまとめ、菅義偉内閣総理大臣はじめ関係各所に提出した。
同意見は、全国の会員事業所から寄せられた意見や、日商の規制・制度改革専門委員会での議論などを踏まえてまとめたもの。コロナ禍で顕在化した課題などを解決するため、「官民を挙げた社会全体のデジタル化の推進が重要」であるとした。併せて、大胆に改革を進めるべき喫緊の課題として、地方創生、生産性向上、人手不足対策を強力に推し進めるための規制・制度改革の重要性を主張している。
コロナ禍は、人口減少・少子高齢化、人手不足といったわが国の構造的課題に加え、デジタル化の遅れ、サプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性、東京一極集中など、従来から行政・企業・地域が抱えていた課題を改めて浮き彫りにした。その一方で、リモートワークや遠隔授業、オンライン医療などの急速な普及を契機に、多様で柔軟な働き方の導入や2地域居住への関心の高まり、企業の地方拠点強化などの地方分散型社会に向けた動きも活発化している。
コロナ禍で顕在化した課題などを解決していくためには、感染拡大防止と社会経済活動を両立できる環境の整備とともに、コロナ禍で進展した変革の流れを力強く後押しする官民を挙げた社会全体のデジタル化推進、地域の経済循環を高める「地方創生」を進めるための規制・制度改革を早急に断行すべきである。
さらに、事業者の新たな挑戦やイノベーション、多様な人材の活躍を支援するとともに、わが国における喫緊の課題である「生産性向上」と「人手不足対策」に向けた取り組みも不可欠である。中小企業の生産性向上、新たな挑戦とイノベーション支援では、新技術やICTなどの導入による介護サービスにおける人員配置基準の緩和や、建設業における技術者の配置要件の緩和などを求めている。
特に最優先すべきは、生産性を高めることであり、デジタル化やさまざまな技術の実装・利活用は、縦割り行政の打破や規制改革と一体的にトータルで進めなければ実現できない。創設予定のデジタル庁を司令塔として国民がデジタル化の利便性を実感できる社会の構築に迅速に取り組むことも要望した。
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