日本商工会議所は2020年12月24日、小泉進次郎環境大臣との意見交換会を都内で開催。環境省の幹部7人と商工会議所関係者6人が2050年カーボンニュートラル(CN)の実現やエネルギー政策などについて懇談した。
日商側は、三村明夫会頭はじめ、広瀬道明特別顧問(エネルギー・環境委員会共同委員長)、石田徹専務理事らが出席。環境省側は、小泉大臣はじめ、笹川博義副大臣、堀内詔子副大臣、宮崎勝政務官らが参加した。
小泉大臣は「2050年CNは中小企業の前向きな参加無くして実現しない。環境省としても中小企業の取り組みをいかに後押しできるか。地域の企業や店舗によるCNに向けた取り組みが国民全体の機運醸成につながっていくと思う。本日を機に、日商と連携していきたい」とあいさつした。
三村会頭は、「2050年CN実現目標は極めて難題であり、国は強い覚悟を示したものと理解している。しなやかに、かつしたたかに取り組んでいくことが必要である。CNを考えるに当たっては、エネルギー政策の基本である『3E+S』(安定供給、経済性、環境+安全性)をしっかり踏まえることが重要である。とりわけわが国にとっては、米中対立の長期化に伴い、地政学的なリスクや不確実性が高まっている中で、エネルギー安全保障は第一に考えるべき観点」との認識を示した。
また、「エネルギーにはそれぞれ長所と短所があり、単独で『3E+S』全てを満たせるエネルギーは存在しない」と強調し、「長所を生かし短所を克服することがCN実現につながる。グリーン成長を図るためには、水素・蓄電池、CCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)の開発などが不可欠である。さらに安価な水素とその安定的な供給体制が必要」と述べた。「2050年CNに向け、地域や中小企業の取り組みが非常に重要だが、中小企業にとってコスト削減が併せて実現されることが重要」と指摘。CNの実現や、温室効果ガス削減、安価な電力供給、準国産のエネルギー確保という点では、安全性を確保した上で原発の利活用が必須であることから、早期の再稼働および設備利用率の向上、リプレース・新増設を求めた。
広瀬特別顧問は、「エネルギーは多様性と多重性が大きなポイント。エネルギーはさまざまな電気・熱がある程度多様な形で共存することがあるべき姿であり(多様性)、重層的なエネルギーインフラが欠かせない(多重性)」と述べた。また、炭素税などのカーボンプライシングの追加導入については反対の考えを示した。
なお、日商と環境省との間で、今後次のような項目に関し、議論を深めていくこととした。①地方創生と地域循環共生圏の同時実現に向けた取り組み推進②脱炭素社会への移行を進めるための、中小企業の経営改善にもつながる再エネ・省エネに関するキャパシティビルディングの形成③商工会議所の環境アクションプランに係る協力④双方のさまざまなチャンネルを通じた連携の強化。
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