コラム石垣 2021年2月1日号 宇津井輝史

コロナがそれまでのパンデミックと違うのは飛行機の有無だ。飛行機は革命をもたらした技術である。数億年をかけて羽根を生やす進化のプロセスを省略してヒトは空を飛んだ。生物としてのヒトはこのようにして文明を築いた。自然界の秩序を壊し続けてきた結果の疫病だが、それが今回のテーマではない。

▼ウイルスの拡散は人とモノの移動による。スペイン風邪は第1次世界大戦が世界に拡散させた。コロナは、人類に恩恵をもたらすグローバルな経済活動が拡散させている。自国ファーストが行き過ぎて、自由貿易という資産をここで手放してはなるまい。コロナの収束はまだ見えないが、コロナ後は大事な局面が来る。

▼経済ではある程度の不況は避けられない。問題はインフレが同時進行するかどうかだ。コロナで主要国の財政がひっ迫する。日本を含め、世界的に増税が不可避になる。国民は受け入れるだろうが、消費は控え気味になる。需要を喚起するための新製品・サービスも、生産体制とサプライチェーンのダメージで生産と供給が追い付かない。いまは何より事業継続を支援すべきときだ。

▼次に政治である。コロナ対応では民主主義体制より権威主義・全体主義国家の方が早い。ともすればトップダウンを称賛しがちになる。民主主義は意見の違う人とともに生きてゆくシステムだから時間がかかる。しかし国民監視の下にあるから政策を間違えれば為政者は替わる。一方、権威主義体制では政策の間違いはなかったことにされる。

▼バイデン米大統領は、世界「民主主義首脳会議」を結成して米国が主催国になる決意を示した。これを新冷戦と突き放してはなるまい。人類の未来はなお民主主義と自由主義の中にある。 (コラムニスト・宇津井輝史)

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